オンラインが日常化する中、子どもの教育に期待が高まる「教育データの利活用」とは?

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子どもも大人もオンライン授業にリモートワークと、ここ数年で情報通信機器(ICT)を使う場面が、ますます身近なものになってきました。
この先さらにデジタル化が進むと、勉強の仕方はどう変わるのでしょうか。デジタル庁の「ロードマップ(工程表)」から予測してみましょう。

この記事のポイント

世界のペースに追いつくために

日本は、さまざまな分野でデジタル化、特にデジタル機器を用いることで膨大に収集されるデータの利活用が、遅れていると指摘されています。
2021年に発足したデジタル庁は、同年末、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策や基本方針を定めた「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を策定しました。

教育分野では、今後の教育データの利活用を進めるため、施策の全体像を示したロードマップを公表しました。広く一般に意見を募集し、有識者との意見交換も行いながら、策定したものです。

誰もが自分らしく学ぶ環境をめざして

教育データには、子どもたちが学習した履歴や成績、健康などの情報があります。工程表は、これらを有効に活用する仕組みを作ることで「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会」の構築を、ミッション(使命)に掲げます。
ICTをフル活用して、学習者主体の教育に転換し、教職員が子どもたちと向き合える環境を作りだそうとしています。

教育データの活用を「スコープ(範囲)」「品質」「組み合わせ」の三つの軸で設定し、充実や拡大を図ります。今はばらばらなサービスの仕様やデータ形式を標準化し、教育以外のデータとも組み合わせながら、「個別最適な学び」をデザインしていくとしています。

2025年までに個別最適化学習へ道筋

教育データの利活用は、学校や教育委員会だけの話ではありません。自治体の教育以外の部局や、教科書や教材・テストなどを提供する民間事業者、学校以外の教育施設などとの連携まで、視野に入れています。所管する省庁も複数にわたります。

デジタル庁は計画を、短期(2022年ごろまで)、中期(2025年ごろまで)、長期(2030年ごろまで)に分けて示しています。今回のロードマップでは、中期までの工程を示しました。

実現すれば、▽学習者が端末を日常的に使うようになり、教育データ利活用のためのログ(記録)の収集ができるようになる▽学校や自治体間で教育データの連携ができる▽学校、家庭、民間教育の間で、学習状況を踏まえた支援が一部できる……としています。

安全面で不安の声もあることから、同庁はQ&A集も公表しています。それによると、政府は個人の教育データを一元管理することは考えておらず、関係者ごとの分散管理を基本とすることを強調しています。また、本人が望んでいない内面の部分を可視化することがないようにすると明言しています。

まとめ & 実践 TIPS

過度なデジタル化への不安は、一人ひとりのニーズに合った学習の実現を遅らせてしまう可能性もあります。データを読み、ひも解いて活用していくことは、どのような意味を持つのか。社会全体が関心を高めながら、子どもたちのよりよい学習環境を考えていく必要がありそうです。

(筆者:長尾康子)

※デジタル庁 教育データ利活用ロードマップを策定しました
https://www.digital.go.jp/posts/a5F_DVWd

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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