直島の流木を使ったサイトスペシフィック・ワークを追体験してみよう!「知る・みる・つくる」バックグラウンドツアーVol.2【直島アート便り】

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ベネッセアートサイト直島では、アーティストが展示場所に合わせて制作した作品「サイトスペシフィック・ワーク」を多く展示しています。今回はその中でも代表作の一つである、リチャード・ロングの作品についてご紹介します。

直島で集めた流木で作品をつくる

イギリスのアーティスト、リチャード・ロングが作品制作のために直島に来たのは1997年5月のことでした。直島に数日間滞在し、自然にある石、流木、泥などを用いて4つの作品を制作しました。中でも「瀬戸内海の流木の円」という作品は特に直島との関係性が強く、実際に海岸から拾い集めた流木でつくられています。

直島で流木を集めるリチャード・ロング(撮影:山本糾)

作品に使われた流木は、自然木のもの、人工的に加工された板や角材が流木になったもの、かつては船の一部であったものなどが含まれています。リチャード・ロングは直島に流れ着いた流木を、選別することなく次々に拾い集めました。集められた流木は、ベネッセハウス ミュージアムの展示する床面にまるく敷き詰められています。

ベネッセハウス ミュージアムの床に流木を配置するリチャード・ロング(撮影:山本糾)

完成した「瀬戸内海の流木の円」(撮影:山本糾)

ベネッセハウス ミュージアムの同スペースには、他にも直島で制作された作品が展示されています。空間内を歩いて視点を変えながら鑑賞すると、作品同士の関わり合いに気づいたり、窓から見える瀬戸内の景観と合わせて鑑賞したりすることもできます。

「十五夜の石の円」(撮影:山本糾)瀬戸内海を望むテラスに設置されており、タイトルは制作した日が満月だったことに因んでつけられました。

「瀬戸内海の流木の円」の展示空間の壁に描かれた「瀬戸内海のエイヴォン川の泥の環」(撮影:山本糾) ロングの故郷であるイギリスの川の泥を使い、泥を塗っていく腕のリズミカルな身体感覚が表現されています。

実際にみて、作品制作プロセスを追体験してみよう。

ベネッセアートサイト直島では、リチャード・ロングの作品に焦点を当てた「バックグラウンドツアーVol.2」を実施します。このツアーでは、直島でのアート活動の背景を紹介するレクチャーの他、作品の鑑賞プログラムや、作家の制作を追体験できるワークショップにご参加いただけます。(2021年12月現在)

鑑賞ツアーの様子。1つ1つの流木をよく観察してみると、特徴も様々で、直島に流れ着くまでのストーリーに想像が膨らみます。

流木を並べて作品を製作するワークショップでは、グループによって個性ある作品が出来上がります。

一つの作品を対象に、制作プロセスを学んだり、細部までじっくり観察したり、実際に身体を動かしてみたり、いろんな角度から体験してみると、作品を眺めるだけでは気づかなかった発見や視点を得ることができ、より味わい深く作品と対話することができるでしょう。ワークショップの後、もう一度作品を鑑賞すると、大きく印象が変化しているかもしれません。
この機会に、直島の自然と関わり合う作品に触れ、五感を使った体験をしてみてはいかがでしょうか。

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「ベネッセアートサイト直島」は、直島、豊島、犬島などを舞台に、株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称です。訪れてくださる方が、各島でのアート作品との出合い、日本の原風景ともいえる瀬戸内の風景や地域の人々との触れ合いを通して、ベネッセグループの企業理念である「ベネッセ=よく生きる」とは何かについて考えてくださることを願っています。
https://benesse-artsite.jp/

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