「中1ギャップ」、実は小学生からもう始まっている!?

2020年初頭以来なかなか収束しない新型コロナウイルス感染症は、子どもたちの心身にさまざまな影響を及ぼしています。
これから中学校に進学する子どもを持つ家庭にとっては、以前から問題になっていた「中1ギャップ」も心配になっていることでしょう。コロナ禍の中1ギャップ問題を、どう考えればよいでしょうか。

この記事のポイント

教科担任制に代わるなど環境が変化

中1ギャップとは、小学校から中学校に進学する際、その環境の変化にギャップを感じてしまい、うまく学校生活に適応できないことから、生徒指導上の問題が多発してしまうことです。
文部科学省の調査でも、小6から中1にかけて、いじめの認知件数や、年間30日以上の不登校の数が急増しています。

これまで中1ギャップは、一般的に、以下のようなことなどの違いから起こると考えられてきました。

  • 学級担任制だった小学校と違って、教科担任制に代わる
  • 高校受験を意識して、授業が難しくなる
  • 校則などの規律が厳しくなる

実は小学校から始まっている!?

しかし文部科学省のシンクタンクである国立教育政策研究所は、リーフレットで「『中1ギャップ』という語に明確な定義はなく、その前提となっている事実認識(いじめ・不登校の急増)も客観的事実とは言い切れない」と注意を促しています。

「中1になる段階で突然何かが起きるかのようなイメージや、学校制度の違いという外的要因が種々の問題の主原因であるかのようなイメージを抱くと、問題の本質や所在を見誤り、間違った対応をしかねません」とさえ警告しています。

要するに、中1ギャップとして現れる問題も、実は小学校の時から始まっている場合が少なくない、というわけです。

人知れず抱える困難に注意を

いじめの数は、学校側が把握した「認知件数」で統計を取っています。
そのため、いじめの軽重の実態を反映したものでは必ずしもありません。
とりわけ注目されるのが、発達障害です。環境の変化に対応することが苦手な児童生徒にとって、教科ごとに先生が変わると、とたんに不安になるわけです。

文科省が2012年に行った調査では、知的発達の遅れはないのに、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒が6.5%いると推計されています。15人に1人、35人のクラスなら2人以上いてもおかしくない計算です。
しかし小中学校の校長会によると、実態はもっと多いとも指摘されています。文科省は22年に、高校も含めた詳しい調査を、改めて実施することにしています。

まとめ & 実践 TIPS

コロナ禍では、それまで問題がなかった子どもでも、人知れず心身のストレスを抱えている可能性があります。
学校では、発達障害の子どもも含めて、診断の有無ではなく、その子が実際に困っているかどうかに寄り添って対応するようにしています。
学校と連絡を密にし、子どものわずかな変化をキャッチして、早期に丁寧な対応を探っていきたいものです。

国立教育政策研究所「生徒指導リーフS」シリーズ
https://www.nier.go.jp/shido/leaf/index.html#leafs-series

文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」有識者会議(令和3年度)会議資料
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2021/mext_00275.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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