オンライン授業が登校のきっかけに!不登校生徒にもたらした変化とは

新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に追われた2020年も、あと約1か月。子どもには気付かない間に、何かと心身の疲れがたまっているかもしれません。いじめや不登校も、心配になります。とりわけ不登校は、文部科学省の19年度調査で、過去最多を更新したところです。ただ今年度は、少し様子が違うかもしれません。休校措置が長引いたことで、不登校の子どもと学校の関係にも、変化があったからです。

この記事のポイント

不登校生もオンラインなら

学校が再開したら、不登校率が下がった……。青森市の成田一二三教育長は、7月に開かれた「超教育協会」主催のオンラインシンポジウムで、同市の状況を、こう紹介しました。
コロナ禍を受けて、同市教委は3月2日から5月10日まで、全市一斉の臨時休校措置を取りました。その間、4月5日から4校で、同20日からは全62校で、オンライン授業を実施。子どもの参加率は96.8%に上りました。

その中には、2019年度まで不登校だった子どもも、かなり含まれていました。調べてみると、中学校では不登校生徒の74.6%を占めました。
2週間の分散登校を経て、5月25日から通常の登校になりました。すると、6月8日までの調査で、オンライン授業を受けた不登校生徒のうち、92.5%が登校するようになりました。翌週には84.2%に下がったものの、夏休みまで大きくは下がらなかったといいます。

「自分だけでない」、気が軽く

なぜ登校できるようになったのでしょうか。スクールカウンセラーが聞き取りを行ったところ、「登校しないのが自分だけでないことで、少し気持ちが楽になった」「新しい学習形態に興味を持った」「周囲の子どもの目を気にしなくていい」という声があったといいます。
不登校の子どもたちは、必ずしも勉強が嫌いなわけではない。オンラインで気軽に授業をのぞけたことで、登校してみようかという気になった……。成田教育長は、そんな見方を示しました。
オンライン授業が不登校の子どもに有効だという報告は、青森市だけでなく、各地で相次いでいます。

どんな子にも学びの保障を

不登校の子どもたちには、保健室までは登校できても、足がすくんで教室に入れない、という子も少なくありません。そんな子どもたちも、オンラインなら、クラスのみんなと一緒に授業を受けられる可能性があります。

それは、不登校に限りません。障害を抱える子ども、病気や病弱の子ども、どうしても感染症が怖い子ども……どんな事情を抱える子どもも、学びを止めないで済むのです。
誰一人取り残すことなく、最大限に学びを保障しようとする視点が、今後ますます求められます。

まとめ & 実践 TIPS

オンライン授業は、子どもの学ぶ権利を保障するツールにもなり得ることが、コロナ禍で浮き彫りになりました。そう考えると。「登校」の意味も変わってくるかもしれません。学校の垣根が低くなるような時代に対応した教育の在り方を、本格的に探ってほしいものです。

出典:
2019年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00351.html

超教育協会オンラインシンポジウム 成田一二三・青森市教育長「不登校の子どもたちへの対応について」
https://lot.or.jp/wp/project/2380/

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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