全国学力テスト中学校数学で見えた数学的思考という課題 家庭学習で伸ばすには?

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2019年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)は4月18日に実施。中学校数学では、関数と資料の活用に多くの課題が見られる結果となっています。

家庭学習でお子さまの数学の力を伸ばすために、どのような工夫ができるのでしょうか。

この記事のポイント

中学校数学の全国学力テストの平均正答率は60.3%

2019年度全国学力テストの中学校数学は、4分野から出題。それぞれの正答率は、以下のとおりです。

●数と式 正答率64.6%
●図形 正答率72.9%
●関数 正答率41.7%
●資料の活用 正答率56.7%

全体として、基本的な知識や理解はあるものの、数学的な見方や考え方に大きな課題が見られます。関数や資料の活用の分野で顕著でした。

たとえば電化製品の使用年数と総費用の関係を表したグラフでは、指定された2点のy座標の差が表していることを答える選択式問題で39.5%という低い正答率になっています。

中学校数学の家庭学習で数学的な見方を養うには

学力テストで課題として浮かび上がったのは「数学的な見方」の不足。家庭学習で伸ばすには、日常生活で目にする数字や数字の変化に意識を向けることがポイントです。

全国学力テストでは、複数の電化製品の本体価格と電気代を使って数年間使用した場合の費用の合計を比較していました。もし近いうちに電化製品を買い換えるなら、同じ方法で計算し、お子さまに製品を検討してもらいましょう。

●計算式:(合計の費用)=(製品の購入価格)+(年間の電気代)×(使用年数)

この計算式では、長い目で見たときにどの製品がお得なのかを考えることができます。

また、バスタブにお湯をためる時間を計算してもらうという方法もあります。「バスタブの容量÷お湯をためるのにかかる時間」で1分間にたまるお湯の量を求め、「半身浴をしたい場合(5割)」や「全身浴をしたい場合(8割)」に分けて、ためるのに必要な時間を計算してもらいましょう。

資料の活用では平均値の勘違いを確認

資料の活用では、たとえば「平均値」に注意が必要。平均点や平均年収など「平均○○」と言われると「そういう人が多い」と感じますが、数学的には誤りだからです。

例で考えてみましょう。5点満点のテストを30人が受け、以下のような結果になりました。

●0点 3人
●1点 4人
●2点 9人
●3点 4人
●4点 3人
●5点 7人

平均点は2.7点。しかし、2.7点をとった生徒はいませんし、過半数の生徒は平均点以下をとっています。

平均とは、凸凹を平らにならすこと。平均値だけでは、もともとの凸凹については分かりませんし、真ん中も分からないのです。

こうした平均値のワナに気をつけてテスト結果やニュースを見てみると、より深い理解につながるでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

家庭学習で数学的な見方を養うには、日頃から数字を意識して見ることが大切です。

費用や必要な時間、平均値や中央値の違いなどは、計算式や言葉だけ知っていても深い理解にはなりにくいもの。実際に日常の物事と結びつけて考え、そうした計算や考え方がどう役立つのかをお子さまと一緒に確認してみてください。


出典:
平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査 報告書【中学校/数学】|国立教育政策研究所
https://www.nier.go.jp/19chousakekkahoukoku/report/19middle/19math/

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