入試にも出た?! 子どもの素朴な疑問「なぜコーヒーは苦いの?」「どうして大人はコーヒーが好きなの?」
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よくお子さまから、身の回りの事象について「これってどうしてなの?」「なぜこうなっているの?」と疑問を投げかけられることがあるかと思います。なんとなくはわかっているけれど説明できないことや、大人でもよくわからないことまで、子どもはたくさんのことを疑問に思います。そういった疑問の中でも、特に近年の入試問題でピックアップされた題材についてお伝えします。
疑問① 眼鏡をかけると、どうしてよく見えるようになるの?
目は丸い球の形をしていて、前方に虫眼鏡のように光を集める凸レンズの役割を果たす水晶体があり、この水晶体の厚さを調節して、後方にある網膜(スクリーンの役割)に物体からの光を集めています。目が悪くなる(近視や遠視)原因の1つが、水晶体の厚さを変える筋肉がうまくはたらかなくなり、網膜に光を集められなくなることです。これを解消するために、眼鏡という補助のレンズをつけてあげるのです。たとえば、近視では、遠くのものを見るときに、水晶体が光を曲げる力を弱めることができない(凸レンズの力が強い)ため、網膜の手前に光が集まってしまい、ピントが合わずぼやけて見えるようになります。そこで、光を広げる役割の凹レンズの眼鏡をかけると、水晶体の凸レンズの力を弱めることができ、網膜上に光を集めることができます。
高校の物理では、このしくみを数式で計算してみたり、物体とレンズの距離によって像がどのくらいの大きさに見えるのかを求めたりできるようになります。
- 眼鏡をかけると物がよく見える理由は、
- 高校物理で説明できる!
疑問② なぜコーヒーは苦いの?どうして大人はコーヒーが好きなの?
コーヒーの苦みの原因の1つは、生豆をじっくり加熱する過程(焙煎)でさまざまな成分が化学変化することにあります。苦味を感じる成分として、カフェインやクロロゲン酸などがありますが、さまざまな成分が絡み合って、複雑な苦味がつくられています。また、焙煎すればするほど酸化が進み、苦味が増加していきます。それとともに、酸味の成分は分解されていくので、苦味が強く酸味が弱いコーヒーになります。
ではどうして大人は苦いコーヒーを好きになるのでしょうか。理由の1つに、経験があります。多くの毒物には苦味があるため、人間は本能的に苦味を嫌うようになっています。そのため子どものころは苦味を嫌がりますが、コーヒーは苦味があるが毒ではないという経験が蓄積されることで、徐々に苦味も味の一種として楽しむことができるようになります。また、ストレス解消のために、苦味を求める傾向もあるようです。
- 苦味の原因や苦味を好む理由も、
- 科学的なものの見方で説明できる!
これらの疑問は、入試問題として出題されている!
これらの疑問は、実際の入試問題の題材として、使われています。疑問①の眼鏡のしくみについては大学入試で、疑問②のコーヒーについては中学入試で出題されています。求められる解答のレベルは違いますが、理科の入試では中学受験から大学受験の入試問題まで、日常生活につながる題材が取り上げられており、その傾向は高まりつつあります。
これからの理科の学習は、「身の回りの自然の事物・現象」に知的好奇心を持たせ、その中で得た気付きから疑問を形成し、それを科学的に解決していく方向に進んでいきます。それにともなって、入試の傾向も変わっていきます。たとえば、大学受験では、現行の「大学入試センター試験」から「大学入学共通テスト」に変わることで、単なる知識を問う問題ではなく、日常生活の中から課題を見つけ、解決方法を考察していくような問題が出題されるようになります。
- 身の回りの自然の事物・現象に好奇心を持つことが、
- これからの理科学習において重要!
まとめ & 実践 TIPS
これからの理科の学習・入試傾向を考えると、お子さまの小さな疑問でも、うやむやにせずに、一緒に調べて解決していくことを、普段から行っておくことがとても大切になります。ぜひ、お子さまの疑問に興味を持って、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。
株式会社プランディット 編集事業部 理科課 原田(はらだ)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの理科の教材編集を担当。
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