「学校の新しい生活様式」をふまえた音楽の授業 歌やリコーダー、鍵盤ハーモニカは?

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新型コロナウイルス感染症がなかなか収束しない中で、実技教科の授業をどう実施するかは、学校ごとに工夫しているのが現状です。とりわけ音楽の授業では、授業内容や取り組み方が大きく変わっています。飛沫(ひまつ)が飛びやすい歌やリコーダーも、「学校の新しい生活様式」を踏まえた上で、対策や工夫をしながら実施するヒントも見えてきました。

この記事のポイント

「歌唱」より「鑑賞」多くなる

教科書も発行する音楽出版社、音楽之友社の「教育音楽」編集部では、7月に「音楽科と新型コロナウイルス」のインターネット緊急アンケートを実施し、結果を公表しました。対象は、全国の学校で音楽の授業を教える教員で、637人が回答しました。
「現在行っている授業」について尋ねたところ(複数回答)、小学4年生では、多い順に「鑑賞」291人、「音楽づくり・創作」230人、「器楽」222人、「歌唱」194人となりました。中学1年生でも、「鑑賞」158人、「歌唱」110人、「音楽づくり・創作」90人、「器楽」67人となっています。他の学年を見ても、「歌唱」より「鑑賞」が多くなっていました。

自治体のガイドラインでも言及

これには、理由があります。文部科学省が示す衛生管理マニュアルでは、音楽の「室内で児童生徒が近距離で行う合唱及びリコーダーや鍵盤ハーモニカ等の管楽器演奏」は、感染症対策を講じても、なお感染のリスクが高い学習活動だと指摘されているからです。
調査でも、勤務する自治体の感染拡大防止のガイドラインに、歌唱や器楽に関する内容が「含まれている」との回答が87.3%を占めました。

ハミング、リズム遊びなど授業に工夫

授業を行う際の具体的な対策と、その割合は、▽マスクの常時着用97%▽机や椅子の間隔を空ける86.2%▽音楽室の窓の開放(常時)85.2%▽楽器・机など、共有する部分の消毒(79.0%)▽音楽室のドアの開放(常時)71.6%▽音楽室への入退室時の手指消毒52.6%などとなっています。フェイスシールドの着用(12.9%)や、パーテーションの設置(3.5%)は少数でした。
音楽の授業中は、▽大きな声を出すよう指導しない74.9%▽合唱隊形にならない59.2%などの注意をしている先生が多いことがわかりました。より積極的な方法として「ハミングで歌う」「パート練習を避ける」「鍵盤ハーモニカやリコーダーの演奏時間を短くする」「リズム遊びをする」などの工夫も挙がりました。

まとめ & 実践 TIPS

文科省のマニュアルでは、地域の感染レベルが低い場合、適切な対策を行った上で、歌唱や器楽を実施することも検討できるとしています。
このまま歌や楽器の演奏を控え続けては、子どもたちが音楽のよさや楽しさを感じ、表現力を伸ばすことが、難しくなってしまいます。学校行事や、クラスの雰囲気づくりにも、音楽は欠かせません。最大限の対策を講じながら、学びを止めない工夫が求められます。

(筆者:長尾康子)


【出典】
緊急アンケート「音楽科と新型コロナウイルス」結果速報(小学版)(音楽之友社)
https://www.ongakunotomo.co.jp/magazine/kyoikuongaku_s/survey202009/survey202009_kyoiku_sho.pdf
https://www.ongakunotomo.co.jp/magazine/kyoikuongaku_s/survey202009.php

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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