避難所の運営、コロナ対応でどう変わる?

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台風や地震などの災害で、学校が避難所になった時、大勢が集まると、新型コロナウイルス感染症が拡大する恐れがあります。政府は、「3密」(密集、密閉、密接)を避ける避難所のレイアウトや「分散避難」を呼び掛けています。防災訓練の中止や縮小も相次ぐ中、公共施設だけでなく、個人や家庭レベルでの備えも求められています。

この記事のポイント

1世帯のスペースは3メートル四方

今年7月の熊本県を中心にした集中豪雨災害では、既に新型コロナ対策が取られていました。これからは、コロナ対応の避難所運営が、全国どこでも必要になります。
政府は4月上旬、各都道府県に対して、避難所のコロナ対応を通知。文科省も、全国の教育委員会などに向けて、対策を講じるようよう求めています。

政府の指針を読むと、従来とは大きく異なる、避難所の姿が見えてきます。▽レイアウトは1家族につき3㍍四方を目安にし、人数に合わせて調整する▽パーティション(間仕切り)を使う時は、口元より高いものにする▽受付で健康チェックをして、体調不良者を分ける▽発熱やせきがある人、濃厚接触者には、専用室を設ける▽避難所運営スタッフは防護具を付ける——など、あらゆる場面での感染防止策を示しています。
都道府県が市町村向けに策定する避難所運営の指針では、体育館以外に、空き教室の活用を検討するよう求めるところも出てきました。感染を広げない避難所開設・運営に向け、防災担当部局と学校との連携が急務です。

ホテルや車中泊の活用も

学校だけでなく、家庭でも、防災対策を「コロナ仕様」にすることが求められます。学校などの避難所で受入れ可能な人数は、コロナ前より少なくなります。
政府が市民に求めている「分散避難」は、学校や公民館以外に、安全な場所であることを確かめた上で、親戚や知人の家、ホテルや旅館、在宅避難、車中泊などに分かれて避難する方法です。
この場合、確かに3密は避けられるかもしれませんが、避難先に感染防止の物資があるとは限りません。マスクや消毒液、体温計は自分で持っていったり、手洗いや体調チェックをこまめに行ったりするなど、自己管理能力が問われます。分散して避難した先が、本当に安全なのかを見極めることも不可欠です。入念な準備が必要でしょう。

防災週間、家庭の備えも見直しを

8月30日から9月5日は、防災週間です。今年は感染防止のため、自治体や地域単位の防災訓練も、縮小や中止が相次いでおり、コロナに対応した新たな避難行動の情報が行き届かない恐れがあります。いつ起きるかわからない災害に不安は尽きませんが、▽非常持ち出し袋にマスクや消毒液、体温計などを入れる▽近隣の避難所の他に、新しく指定された避難所はないか確認する▽防災情報の受信方法を確認する▽在宅避難に備えて、自宅の備蓄品を見直す——など、自分でコントロールできることに意識を向けることはできます。

まとめ & 実践 TIPS

新型コロナの感染拡大を防ぎ、安全に避難所を開設・運営することが、「ウィズコロナ」時代の防災対策です。避難所も、防災や医療部門と連携し、事前の取り決めや運営計画を見直す時期に来ています。家庭でも「分散避難」などの新たな避難方法を知り、一人一人が災害とウイルスの両方から身を守れるようにしたいものです。

(筆者:長尾康子)


※新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営のポイントについて(内閣府)
https://bosaijapan.jp/library/

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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