「メタ認知」を育てる保護者の関わり方とは?ウィズコロナで学びを止めないために(3)

休校の影響で、子どもの学習の遅れを心配されているかたが多いと思います。そのような状況でも、家庭学習の成果を高めるにはどうすればよいでしょうか。そのカギとなる「メタ認知」について、効果的な学習方法の研究を行っているベネッセ教育総合研究所の木村主席研究員がお話しします。

この記事のポイント

「メタ認知」は「自ら学ぶ力」の基本

新型コロナウイルスの感染予防で学校の教育活動が十分にできず、学校の宿題が増えています。家庭学習の重要性が高まっていますが、子どもが「自ら学ぶ力」を備えているかどうかで、成果は大きく変わります。この「自ら学ぶ力」は、次々と新しい技術や知識が生まれる社会を生き抜き、新しい未来を創造していくためにも、身につけておきたい力です。
そして、「自ら学ぶ力」と切っても切り離せないのが、「メタ認知」と呼ばれる能力です。勉強でもスポーツでも、先生やコーチに言われるままに行動しているだけでは、やがて成果が上がらなくなります。大切なのは、「自分には何が足りないのか」「苦手を克服するにはどうしたらよいのか」などと自分の状況を分析して、やり方を工夫することです。このように、自分を客観視して、方法を調整する機能が「メタ認知」です。

自ら学ぶための「足場づくり」を

では、わが子の「メタ認知」を高め「自ら学ぶ力」を伸ばしていくために、保護者のかたはどんなサポートをしたらよいのでしょうか。理想的な関わり方を考えるうえで参考になるのは、「足場づくり」と言われる概念です。「足場づくり」とは、お子さんにとってちょっとだけ難しい課題に対して、それを乗り越えるための足場をつくってあげること。保護者のかたが行うのは、ヒントを与えることや最低限の支援であり、指示ではありません。そのとき、子ども自身が、解決方法をいろいろ考え、工夫することで「メタ認知」は育ちます。そして、ヒントや支援なしでも課題をクリアできるようになったら、そっと足場を外してあげるわけです。自力で解決できるレベルが高まれば、より高く階段を登れるようになります。

どんな声かけをすればよいか

苦手科目の学習をするにしても、計画を立てる練習をするにしても、それがお子さんにとって容易な課題であれば、無理に支援をする必要はありません。ただし、大人の目から見て改善した方がよいと思ったら、「なぜその方法なのか」「ほかにもっとよい方法はないのか」を考えるように促してみてください。
子どもが学習の仕方に悩んでいたら、そのときは「足場づくり」のチャンスです。まずは、プロセスの中で子どもができているところをほめます。そのうえで、「どんな計画を立てたのか」「どこがうまくいっていないのか」「どうしたらよいと思うか」といったことを聞いてみてください。常にプロセスを振り返って言語化し、自分で考えるきっかけになるような問いかけを心がけましょう。

まとめ & 実践 TIPS

子どもが大きくなると、学習内容について直接教えることは難しくなります。しかし、「自ら学ぶ力」を育てておけば、試行錯誤しながら乗り越えていくはずです。その意味で、「メタ認知」を高めるような問いかけをすることは、保護者のかたの重要な役割のひとつだと思います。そして、もうひとつ大切なのは、「動機づけ」です。子どもが学習内容に関心をもったり、学習を価値のあるものだと思えたりすることは、自ら学ぶためのエネルギーとなります。
保護者のかたも「メタ認知」を働かせて、子どもに適切な問いかけができているかを振り返ってみてください。実際にうまくできていないことは多いかもしれませんが、関わりを考えること自体に大きな意味があります。

プロフィール

木村治生

木村治生

CRN主席研究員、ベネッセ教育総合研究所主席研究員。
ベネッセコーポレーション入社後、子ども(乳幼児~大学生)、保護者、教員を対象とした意識や実態の調査研究、 学習のあり方についての研究、教育市場(産業)の調査などを担当。 文部科学省や経済産業省、総務省から委託を受けた調査研究にも数多く携わる。 東京大学客員准教授(2007年、2014~16年)、追手門学院大学客員研究員(2018年~)、横浜創英大学非常勤講師(2018年~)、文部科学省「中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会」委員(2013年)、「中高生を中心とした生活習慣マネジメント・サポート事業」における選定委員会委員(2017年)、光り輝く「教育立県ちば」を実現する有識者会議委員(2014年)、富山県学力向上対策検討会議アドバイザー(2014年)、草加市子ども教育連携推進委員会専門部会委員(2014年~)など。専門は社会調査、教育社会学。

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