日本語指導の国家資格を提言

外国人に日本語を教える「公認日本語教師」の国家資格ができるかもしれません。文化庁の審議会が、報告書をまとめました。多様な日本語の学習ニーズに応えられる優れた日本語教師を育成し、日本語教育の質の向上を目指すといいます。どのような資格なのでしょうか。

教師の資質・能力にばらつき

グローバル化が加速する現在、日本のあらゆる場所で外国人の姿を見ることができます。日本に観光でやってくる人もいれば、日本で仕事をし、暮らしている外国人も数多くいます。そうした人たちが日本で安心して過ごせるようになるには、日本語を学ぶ環境を整えることが必要です。

文化審議会国語分科会の報告書によると、日本に在留している外国人は2019年6月末で約283万人に上り、年間15万人を超えるペースで増加しているといいます。国籍や職業、年齢も多様化しているため、日本語学習者のニーズに応えられる質の高い日本語教育を提供することが課題です。

しかし、現状の環境整備は十分とはいえません。報告書によると日本語教育人材は約4万人で、その約6割をボランティアに頼っている現状です。日本語教師を職業とする人は約1万9000人いますが、不足しています。

現在、日本語教師になるには、法務省出入国在留管理庁が定めた▽大学の日本語教育の課程を修了▽「日本語教育能力検定試験」に合格▽民間の日本語教師養成研修を修了……などの要件がありますが、公的な資格制度はありません。報告書は、教師の資質・能力にばらつきが生じていると指摘しています。

必要な子どものためにも

こうした背景を受けて報告書は、日本語教育の専門家として求められる資質・能力を証明する「公認日本語教師」の資格創設を提言しました。資格取得には▽日本語教育の知識を測定する試験に合格▽45コマ以上の教壇実習を含む教育実習の履修▽学士(大学卒業)以上の学位……の3点を求めました。更新期間は10年程度で、年齢や国籍、母語は不問としています。日本語を使えれば誰でもいい、というわけではなく、第二言語として日本語を教える知識や技能を、体系的・実践的に学ぶ必要があります。

公認日本語教師は、国内の日本語学校や地域の日本語教室、大学などの学校、企業、海外の学校などで、活躍が想定されます。特に、日本で学校に通う子どもたちの日本語学習支援は、発達段階に応じた指導が求められる専門性の高い分野です。

公立学校で日本語指導が必要な児童生徒数は、外国籍、日本国籍を合わせて約5万人で、10年間で約1万7000人増加しています。公認日本語教師は、国際化時代の新たな教育系の資格として注目されるだけでなく、未来を担う子どもたちの生活の基盤をつくる資格としても期待されています。

(筆者:長尾康子)

※文化審議会 日本語教師の資格の在り方について(報告)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/kokugo/kokugo_73/index.html

※文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(2018年度)」の結果について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/09/1421569.htm

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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