「スマート読書」でも高まる思考力

情報端末の普及により、スマートフォン(スマホ)やタブレットで読書する人の割合が少しずつ増えています。「紙で読書」派も含めて、本を読む時間が長いほど、主体的に行動する意欲が高い傾向にあるとする調査結果を、国立青少年教育振興機構が発表しています。

大人の半数は1か月「0冊」

同機構の青少年教育研究センターが、2019年2月、全国の20~60代の男女5,000名を対象に実施した調査によると、1か月に1冊も紙の本を読まない人は、年代に関係なく半数以上か、半数近くに上りました。13年の調査時より増えており、特に20代では前回調査より約25ポイントも増え、52.3%が月に1冊も紙の本を読まないと回答しています。

紙に代わり近年、増えているのが電子書籍です。今回の調査では、1か月に読む電子書籍の量が月に「0冊」と回答した割合が減りました。月に「1冊」以上の割合は19.7%と、13年調査時(8.5%)より10ポイント余り増えています。携帯電話やスマホ、タブレットでの読書時間を尋ねると、20代では▽15分未満10.6%▽15分から30分未満8.2%▽30分から1時間未満11.5%▽1時間から2時間未満9.5%▽2時間から3時間未満5.5%▽3時間以上6.5%……と、半数以上がスマホやタブレットを使った読書をしていることがわかりました。

電子メディアでも読書推進を

若い世代の読書で「電子派」が増えていることがわかりましたが、読書の効果は、使用ツールによって変わるのでしょうか。調査では、読書活動の傾向を「紙媒体中心」「スマートデバイス中心」「パソコン中心」「パソコン、スマートデバイス中心」「すべてのツールで読書時間が短い」の5群に分け、「自己理解力」「批判的思考力」「主体的行動力」との関連を調べています。

すると、読書の使用ツールに関わらず、読書をしている人は、読書をしていない傾向がある人に比べて、三つの力は高くなることがわかったのです。報告書は、今後の読書活動の推進には、紙媒体の読書とともに、さまざまな電子メディアを介した読書活動の推進が効果的ではないか、とまとめています。

若者の「紙」離れが進むのは、スマホの普及に合わせ、電子書籍が増えてきたことも理由の一つかもしれません。出版科学研究所によると、2019年の出版市場規模は、紙の出版が4.3%減だったのに対し、電子出版は23.9%増と躍進しています。これからは、子どもたちもスマホやタブレットを使った読書に親しむことが、本離れを食い止めることにもつながりそうです。

コロナウイルス感染症の拡大の影響で、学校図書館や地域の公立図書館の利用が難しくなるなか、子どもが本を手に取る機会が減っています。家庭にあるスマホやタブレットで、親子で一緒に「スマート読書」にチャレンジしてみてはどうでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※国立青少年教育振興機構 子供の頃の読書活動の効果に関する調査研究報告書〔速報版〕
https://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/140/

※公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所 2019年の出版市場
https://www.ajpea.or.jp/information/20200124/index.html

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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