高校にも「ミッション」「ポリシー」導入へ

小中高校など初等中等教育の在り方を検討している中央教育審議会のワーキンググループ(WG)で、高校が「スクール・ミッション」(学校の使命)を再定義するとともに、「スクール・ポリシー(方針)」を策定することを求める方針が固まりました。これからの高校は、どう変わるのでしょうか。

大学では既に導入されている手法

ミッションやポリシーは、既に大学など高等教育で導入されています。
国公立を問わず各大学等は2017年度から、
(1)ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針、DP)
(2)カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針、CP)
(3)アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針、AP)
を一貫させて策定することが義務化されました。

また、ミッションは私立大学の「建学の精神」に当たるものですが、国立大学に関しては各大学の強みや特色、社会的役割を整理し直す「ミッションの再定義」が行われ、学部・学科の再編・統合にも弾みがついた経緯があります。

一方、高校をめぐっては、昨年4月の文部科学相による中教審への諮問に「生徒の学習意欲を喚起し能力を最大限伸ばすための普通科改革など学科の在り方」が盛り込まれました。高校等進学率が99%近くに上る一方、少子化の進行で普通科に入りやすくなっているなか、生徒の多様化にどう対応するかが宿題です。

その回答として高校WGで打ち出されたのが、スクール・ミッションの再定義と、
(1)卒業の認定に関する方針(グラデュエーション・ポリシー)
(2)教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)
(3)入学者の受け入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)
という三つのスクール・ポリシーの策定です。

入試や授業も変わる

このうちスクール・ミッションは、私立高校なら建学の精神そのものですし、国立大学附属高校は各大学のミッションに位置付けられますが、公立高校は既に「伝統やアイデンティティ」(具体的論点)として定着していることも少なくありません。ただしWGでは、公立高校のスクール・ミッションの再定義を検討する際、難関大学進学を目指す進学重点校、中堅校、進路多様校といったような「学校間の学力格差を固定化・強化する方向で、各学校のスクール・ミッションを検討すべきものではない」と注意を促しています。

さらに普通科高校に関しては、▽自らのキャリアをデザインする力を育成すること▽グローバルに活躍するリーダーや、国内外の社会課題の発見・解決に向けて対応できるリーダーとしての素養の育成▽サイエンスやテクノロジーの分野等において飛躍知を発見するイノベーターとしての素養の育成▽スポーツや文化芸術の分野で活躍するために必要となる素養の育成▽わが国の経済社会の活力を維持し、成長分野の発展を担うために必要となる素養の育成▽地域への課題意識を持ち、地域ならではの新しい価値を創造し、地域を支えるために必要となる力の育成▽多様なニーズに対応した教育機会を提供し、一人ひとりの能力・可能性を最大限伸長させること▽これからの時代においても求められる教養教育を施すこと……を例示し、複数の役割を併せ持つことに期待を掛けています。

これによって高校入試はもとより、入学後の授業に関しても、スクール・ポリシーの徹底が予想されます。今後、過去の偏差値や評判にとらわれ過ぎない高校選びが、ますます必要になるでしょう。

(筆者:渡辺敦司)

※中教審 新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ(第6回)会議資料
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2020/02/mext_00056.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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