2020年、教育改革はどうなるか

2020年を迎えました。教育界では、小学校から順次始まる学習指導要領の全面実施(幼稚園教育要領は既に18年度から)と、大学入試改革を車の両輪とした「明治以来の大改革」(14年11月当時の下村博文・文部科学相)の年です。「一年の計は元旦にあり」とも言われますが、大改革初年度に当たって今、どのような決意が求められるのでしょうか。

「高大接続」の趣旨は変わらず

「大学入学共通テストも大事だが、それ以上に、高校の指導要領、大学入試、大学に入ったあとの大学教育を連動させようとする、本来の趣旨は変わらない」……。大学入試センターの白井俊審議役は、12月7日に京都市で開催された「高大連携教育フォーラム」で、こう強調しました。

共通テストは21年1月から、大学入試センター試験に代えて実施されます。このうち目玉だった英語4技能評価の民間試験活用と、国語・数学の記述式問題の導入が相次いで見送られるなど、入試改革は一見、後退したようにも思えます。

しかし白井審議役が言うように、高校教育・大学教育・大学入学者選抜を一体とした「高大接続改革」自体が揺らいでいるわけではありません。共通テストにしても、思考力や判断力をいっそう問う出題方針は変わっておらず、<センター試験に戻る>わけでもないのです。

白井審議役はまた、その直前に発表されたPISA(経済協力開発機構=OECD=の「生徒の学習到達度調査」)の2018年調査結果で、日本の15歳の「読解力」が低下したことに触れ「これが(過去にPISAが行われた)03・06年だったら『PISAショック』と大騒ぎになるはずだ」と危機感を示しました。文部科学省から入試センターに出向中の白井審議役は、前任が学習指導要領を担当する教育課程課の室長で、さらにその前はOECD教育・スキル局に出向していましたから、いっそう重い指摘だと言えます。

新しい時代で活躍できる資質・能力を

3年ごとに行われるPISAは、前回の2015年から、コンピューターを使用した調査に移行しています。今回の18年調査では、読解力を詳しく調べるとともに、デジタル情報を読み解く力も問おうとしました。日本の結果は、それで下がった側面があります。もう一つの側面は、自由記述の問題で、自分の考えを他人に伝わるよう根拠を示して説明することができない生徒が少なくなかったことです。

今後の世界は、人工知能(AI)に代表される「第4次産業革命」により、人類史上5番目の時代である「Society(ソサエティー) 5.0」(超スマート社会)が到来するともいわれています。人やモノが国境を安々と乗り越えるグローバル化もますます進展しており、国内でも外国にルーツを持つ人が増えています。子どもたちには、新しい時代に対応できる「資質・能力」を身に付けさせ、国内はもとより、世界で活躍できるようにすることが求められます。

新しい指導要領は、そのために改訂されました。また、指導要領の改訂と連動してOECDが打ち出した「Education2030」では、生徒が「エージェンシー」(自ら考え、主体的に行動して、責任をもって社会変革を実現していく力)を発揮して、個人と社会の幸福(ウェルビーイング)を追求するよう学んでいく在り方を提唱しています。

そんな壮大な改革の中で、共通テストをどうするかというのは、技術的な話です。同フォーラムで中央教育審議会初等中等教育分科会長の荒瀬克己・大谷大学教授が言ったように、肝心なのは「生徒にどんな力を付けさせるのか」であり、そのための「教育の改革」(荒瀬教授)なのです。

(筆者:渡辺敦司)

※新学習指導要領(文部科学省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm

※高大接続改革(同)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/index.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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