「1つ、2つ、3つ」の書き方に親近感

テレビのクイズ番組や書籍などで「実は間違って使われている日本語」はよく取り上げられるテーマの一つで、言葉に関する社会の関心をうかがわせます。文化庁の「国語に関する世論調査」からは、国に対して「正しい言葉遣いが行われるようにする」ことを期待する声が大きいことがわかるのと同時に、私たちの言葉遣いの変化を感じることができます。

家庭や社会での正しい言葉遣いに期待

最新の2018年度「国語に関する世論調査」は、今年2月から3月にかけて全国16歳以上の男女3,590人に対して実施したもので、有効回答率は54.6%でした。日常の言葉遣いや話し方、文章の書き方など、国語について「非常に関心がある」と「ある程度関心がある」人は、合計で76.4%となっています。

国語に関して、国に期待することとして「家庭や社会で正しい言葉遣いが行われるようにする」が39.5%で最も高く、以下、「学校での国語の教育をより充実させる」(35.3%)、「言葉の意味・由来や国語の伝統が受け継がれるようにする」(33.3%)、「敬語など言葉遣いの標準を決めて、その普及に努める」(30.0%)などとなっています。

しかし、明治時代の言葉遣いでさえ今の私たちにはなじみが薄いように、正しい言葉遣いや言葉遣いの標準といっても、言葉は時代の移り変わりとともに変化するものです。

調査では書き方(表記)として、どちらが良いと思うかを調べています。それによると、公用文に用いられる表記である「ごみ」(20.8%)より、カタカナの「ゴミ」(73.0%)のほうが「良いと思う」という回答が多くなっています。「一つ、二つ、三つ」(23.6%)より、「1つ、2つ、3つ」(66.3%)と表記するほうが良いと思う人も多いようです。

言葉の使い方(用語)では、「『約束を≪堅く守る≫』の使い方が良いと思う」(76.9%)が「『約束を≪堅持する≫』が良いと思う」(19.4%)を、「多くの人の≪ニーズ≫に応じる」(58.5%)が「多くの人の≪求め≫に応じる」(36.6%)を、それぞれ大きく上回る結果となりました。

共生社会に向け、分かりやすさも

一般の社会生活における日本語の表記や使い方については、内閣告示で「常用漢字表」や「現代仮名遣い」などが目安として定められており、小学校では「学年別漢字配当表」に基づいて漢字教育が行われています。一方で、公立学校で日本語指導が必要な児童生徒数は約5万人と増加傾向にあり、中でも、約1万人が支援を受けられていない状態であることも明らかになっています。

今年6月には「日本語教育の推進に関する法律」が施行され、日本に住む外国人や、海外にルーツを持つ子どもたちへの日本語教育を進める国や自治体の責務が明記されました。

先日の台風19号の際には、日本語に慣れていない人がわかりやすい「やさしい日本語」で書かれた防災情報やニュースが配信されるなど、共生社会を目指した新たな日本語の使い方も模索されつつあります。

東京五輪・パラリンピックを控え、また、法改正で外国人材の受け入れが拡大されようとする中、日本語の正しさだけでなく、伝わりやすさにも注目し、共生社会を目指したいものです。

(筆者:長尾康子)

※2018年度「国語に関する世論調査」
http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1422163.html

※2018年度「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/09/1421569.htm

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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