先生の仕事、女性から見てどう?

女性の活躍推進は現政権の重要施策のひとつですが、学校の先生についてはどうなのでしょうか。2019年度の学校基本調査(速報値)の結果では、女性の教員の割合、女性管理職の割合とも上昇しています。
働き方改革も進む中、教員という働き方には安定性や待遇面で多くの魅力がありますが、実際の運用面では改善すべき点も見えてきます。

教員の半数は女性

大学における女子学生の割合は年々上昇しており、2019年度は学部で45・4%、修士課程で31.6%、博士課程で33.8%と、いずれも過去最高となっています。
それよりもさらに女性の占める割合が多いのが、幼稚園から大学までの教員です。前年度より0.6ポイント上昇し、やはり過去最高の53.3%となりました。小学校では62.2%、中学校では43.5%、高校は32.3%で、いずれも前年と同程度か上昇しています。

校長・副校長・教頭といった管理職でも女性比率は1.1ポイント上昇し、29.0%となりました。民間企業と比較すると、課長相当職以上の管理職の割合は、従業員数30人以上の企業で8.9%、従業員数100人以上の企業で9.6%となっていますから、教員の仕事において女性が活躍し、意思決定場面にも参画できるチャンスが多いことがわかります。

待遇は厚いが課題も

子どもと関わって人間的な成長を後押ししたいという動機があってこそですが、公立学校の先生の場合、教育公務員としての待遇の厚さは、働く女性としては魅力的です。

まず、給与の安定性が挙げられます。支給額は給料表により決められており、給与面での心配は民間に比べて格段に少ないと言えるでしょう。
休暇や手当の制度も整っています。育休は最大3年取得でき、育児と仕事の両立がしやすいのも特徴です。教員は数年ごとに学校を異動しますが個人希望を出すことができます。結婚や子育て、介護など家庭の事情が考慮されるのも特徴です。

こうしてみると女性教員は恵まれていると思われがちですが、実際には大変なことが多いのも事実です。育休後に職場復帰した場合、授業以外の仕事や部活動などの負担を軽減してくれる場合もありますが、すぐに学級担任を任されるケースも少なくないようです。子どもや保護者対応、授業準備などが重なり、夕方はお迎えにダッシュ!という教員ママもたくさんいることでしょう。

最近はベテラン教員の、介護と仕事の両立も課題です。冒頭で挙げた管理職の女性比率ですが、幼稚園が68%に対して、小学校は24.1%、中学校は10.7%、高校で9.2%と、校種によって偏りがあるのも見逃せません。ワークライフバランスの確立という意味では、民間も公務員も課題は同じと言えるのかもしれません。

そんな制度と現実のギャップを解消する方法として期待されるのが、学校の働き方改革です。女性校長として活躍する現役世代の中には、自身がキャリアを重ねる中で「こうしてほしかった」という思いを活かし、学校改革を進める人もいます。地域人材の活用や外部委託などにより、学校のさまざまな業務が分担され、長時間勤務が是正されれば、女性は物理的にも精神的にも、もっと働きやすくなるはずです。

(筆者:長尾康子)

※文部科学省 学校基本調査-令和元年度(速報)結果の概要-
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2019/08/08/1419592_1.pdf

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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