AI時代、先生も「進化」する時代に

社会が世界規模で技術革新を遂げる中、ICT(情報通信技術)対応、課題解決能力の育成など、学校教育にかかる期待は大きなものがあります。では、それを担う先生の力はどのように伸ばしていけばよいのでしょうか。学校現場だけでなく、教員を育てる教員養成大学にも、大胆な変革が求められています。

教員養成リードする大学を創設

政府の教育再生実行会議がまとめた第11次提言では、IoT(モノのインターネット)で知識や情報が共有され、新たな価値を生み出す「Society5.0」(超スマート社会)の実現に向けて、教師のあり方も変わるべきだとしています。ICTや先端技術を取り入れながら、児童生徒の理解度や関心を踏まえた授業や、課題解決力を養う力を高めてほしいと提言しています。
学校の授業が変わるためには、現在、学校で働いている先生への研修や、ICT環境、教材の整備・充実などが必要です。しかし少し先を見た時には、これから教員を目指す人に対して、学生のうちからAI技術を使いこなし、子どもたちの基礎学力や読解力、情報活用能力を高める教え方ができるよう、力を付けてもらうことも必要です。

第11次提言では、教員養成をリードする「教員養成フラッグシップ大学の創設」を盛り込んでいます。フラッグシップとは「旗艦」「主力商品」などを意味する言葉で、この文脈でいえば、教育革新を先導するような教員養成大学を意味しています。

アクティブ・ラーニングやSTEAMも

さっそく中央教育審議会の教員養成部会は「教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループ」を立ち上げ、このほど第1回目の会議を開きました。各委員からは、教員養成フラッグシップ大学のイメージ像や、現状の教員養成の課題などが出されました。
論点は、▽ICTを活用したアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び、AL)の進め方▽一人ひとりに最適化された指導方法の開発▽遠隔教育の試み▽科学技術分野の競争力を高めるSTEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)教育▽文系・理系を横断した教育法の開発▽国内外の企業との連携……など盛りだくさんですが、年内に議論を取りまとめる予定です。

全国の大学ではこの春、約20年ぶりに新しい教職課程が始まりました。小学校英語やICT活用法、道徳教育やALなど、履修すべき項目を充実させたばかりです。学校現場では働き方改革が急務とされる一方で、部活動などの課外活動の改革、いじめや虐待防止など子どもの安全を守る役割など、社会から寄せられる期待は依然として大きいものがあります。

教員採用試験の倍率が低迷し、学校に「しんどい職場」というイメージがついてしまった今、それでも先生になりたいという人の夢を叶えるような教員養成大学の未来像を描けるかが、鍵になりそうです。

(筆者:長尾康子)

※中教審 教員養成部会 教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループ
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/082/index.htm

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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