大丈夫?子どものネット利用

 新学期からお子さんにスマートフォン(スマホ)やタブレットを買い与えたご家庭も多いことでしょう。異例の長期ゴールデンウィークを過ぎ、そろそろ使い方も心配になってくるころではないでしょうか。
文部科学省はこのほど、「情報化社会の新たな問題を考えるための教材~安全なインターネットの使い方を考える~」の動画教材と、指導の手引の一部改訂版を公表しました。学校の教員向けですが、動画はわかりやすいですし、手引にはデータも満載で、保護者にとっても役に立ちそうです。

利用の低年齢化を踏まえて教材を改定

今回の改訂では、ネットやスマホ利用者の低年齢化を踏まえているのが特色です。
内閣府の調査(2017年度)によると、小学生でも55.5%がスマホ(29.9%)か携帯電話(29.4%)を持っています。さらに、パソコン(14.3%)とタブレット(35.3%)を合わせると49.6%になります。意外な落とし穴が、ゲーム機(53.9%)です。通信機能を備えたものが多く普及しているため、無防備なままネットに接続してしまうからです。

そこで心配されるのが、「ネット依存」です。総務省の調査(2015年2~3月、横浜市内の公立中学校を対象に実施)では、ネット依存傾向が「高」と判定された中学生(5.7%)は少なかったものの、「中」(48.8%)と合わせると54.5%と半数を超えます。

ネットを多く使う子どもは、どれくらいの時間が「使い過ぎ」なのかの感覚もまひしてしまいます。静岡県でネットやゲームを使い過ぎだと感じる時間について尋ねたところ、平日に30分以下しか使っていない「ネット利用少」の小学生では「30分以上」が30.2%、「1時間以上」が34.0%、「2時間以上」が17.9%などだったのに対して、3時間以上使う「ネット利用多」の小学生では「4時間以上」が31.0%、「6時間以上」が20.7%、「8時間以上」が13.8%となっています。

家庭でルール話し合うきっかけにも

そうは言っても、仕事や社会生活ではネットやICT機器を使いこなすことが不可欠です。学校でも人工知能(AI)時代に備えて、新しい学習指導要領では、小学校からプログラミング教育を導入したり、普段の授業でも調べ学習などでICT機器を使うことを推奨したりするなど、情報活用能力の育成に力を入れようとしています。併せて、情報モラル教育も強化を図っています。
ただ、ネットや機器の使用が低年齢化している中、学校での指導を待ってはいられません。そもそも小さい子どもに機器を与えたり、使い方を見守ったりすることは、家庭教育の範囲です。

しかし内閣府調査によると、青少年の家庭の33.9%が「特にルールを決めていない」と回答しています。ルールを決める場合でも、保護者が一方的に決めるより、話し合って決めた方がルールを守る割合が高くなるといいます(LINE調査)。

そう言われても、戸惑うご家庭が少なくないかもしれません。そこで強い味方になりそうなのが、動画教材です。教員向けといっても、描かれる家族の様子はとてもリアルで、子どもにも親しみやすく大変わかりやすいものになっています。これを親子で見ることで、使い方の家庭ルールを話し合うきっかけとしてみてはいかがでしょうか。

(筆者:渡辺敦司)

※情報化社会の新たな問題を考えるための教材<児童生徒向けの動画教材、教員向けの指導手引き>
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416322.htm

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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