今ある仕事の半数、子どもの就職時には変化!?

技術革新などにより、子どもたちが社会人になるころに就く仕事は、どのようになっているのでしょうか。経済協力開発機構(OECD)は、今後15~20年の間に、日本でも今ある職業の15%がなくなると予測しています。働く人たちの仕事の質が変化するだけでなく、格差が広がる恐れもあります。そうした時代に備えるには、誰もがいつでも自由に必要なことを学べる「生涯学習」の充実が欠かせないと指摘しています。

雇用拡大でも高まるリスク

先ごろ発表された報告書「OECD雇用アウトルック2019」は、デジタル化とグローバル化により、世界の人々の働き方が既に大きな変化にさらされていると指摘しています。OECD諸国全体では、今後15~20年で既存の職業の14%は自動化の結果消滅し、32%は根本から変化する可能性があると予測しています。
私たちはICT機器が使えれば仕事の効率をアップさせることができますし、求人情報をネットで見て応募したりもできます。在宅ワークなど、柔軟性のある働き方もできるようになってきました。しかし、誰もがその恩恵を受けられているわけではないと報告書は指摘します。

日本では最近の景気拡大で、雇用全体としては増えているものの、今後、高齢者とそうでない者、正規雇用とパートタイムの賃金や雇用機会などの格差が広がる恐れがあると警鐘を鳴らしています。働く世代の54%が「仕事の自動化リスク」にさらされており、「完全になくなってしまう」(約15%)か、「大幅な変化を経験する可能性」(39%)があるとしており、OECD加盟国平均より深刻な水準となっているのです。

生涯を通じた学びが求められる

こうした変化の中で重要になってくる対策の一つとして、報告書は「生涯学習」の充実を各国に提言しています。OECD加盟国のどこでも研修の参加率が低いのは、スキルが少ない人や、高年齢の人、非正規労働者など、実は研修を最も必要とする人たちだからです。

日本では2012年の段階で、成人の約35%が仕事関連の成人学習に参加しましたが、その水準はOECD平均(41%)をかなり下回っています。また、正社員とパートタイムの人では、研修の参加率の差が顕著だとも指摘されています。これらの結果からOECDは、日本政府が進めている高等教育システム改革と、高等教育や生涯学習に対する助成は「極めて重要」としています。

5月10日に、住民税非課税世帯等の高等教育の負担を軽減する「大学等就学支援法」が成立しました。また、柴山昌彦文部科学相は4月、中央教育審議会に「新しい時代の初等中等教育の在り方について」を諮問し、高校の普通科の見直しや、文系・理系にかかわらずさまざまな科目を学ぶことなどの検討を求めました。
今後の教育改革によって、OECDの指摘する「仕事の自動化リスク」を回避し、学齢期以降も必要に応じて学びの機会を得られる社会づくりにつながることが期待されています。

(筆者:長尾康子)

※OECD雇用アウトルック2019
https://www.oecd.org/tokyo/newsroom/rapid-action-needed-for-people-to-meet-challenges-of-changing-world-of-work-says-oecd-japanese-version.htm

※日本版発表資料(PDFファイル)
http://www.oecd.org/japan/Employment-Outlook-Japan-JP.pdf

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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