書いて考える学習も重要!共通テストに向けて

大学入試センターが、昨年11月に行われた「大学入学共通テスト」試行調査(プレテスト)の結果をまとめました。まだ一部科目などの難易度調整に課題があるようですが、知識・技能だけでなく思考力・判断力・表現力を測る新テストに向けて今後、どのような学習が必要になるのでしょうか。

出題には模索が続くけれど

2017年11月の第1回プレテストは、思考力などを測る理想形を追求して、あえて「とがった問題」(当時の入試センター担当者)を出題しました。それを受けて今回は各科目で平均正答率が5割程度になることを目指して作問したのですが、5割程度以上となったのは19科目のうち14科目。理科や数学の5科目では、数学I・Aが34.54%、生物が32.63%などと、入試に使えるテストとしては、まだまだ調整が必要です。

共通テストの目玉である記述式問題(国語と数学で各3問)の正答率も、国語はほぼ想定通りの7割程度・5割程度・2割程度でしたが、受検者の自己採点とは大きなズレがみられました。
一方、数学ではマーク式問題と一緒に出題されたため、「難易度はそれほど高くなかった」(報告書)にもかかわらず、無解答が多かったこともあり、3.4%~10.9%と低率にとどまりました。

2019年度はプレテストを行わないことになりましたから、入試センターには2020年度の本番に向けて、しっかりした出題を研究してもらいたいものです。ただ、過去2回のプレテストではっきりしたのは、センター試験以上に考える力や書く力が問われるということです。
とりわけ記述式は、新課程に対応する2025年1月(今年度の中学1年生が受験)以降、地理歴史・公民科や理科分野などにも広げたい考えです。

改めて各教科で「言語活動」を

そこで注目されるのが、「言語活動」の重要性です。言語活動は、「習得・活用・探究」を掲げた現行の学習指導要領(2008~2009年改訂)で、体験活動とともに重視されています。PISA(経済協力開発機構=OECD=の「生徒の学習到達度調査」)で課題になった「読解力」への対応という側面もありました。
新しい指導要領(2020年度の小学校から順次、全面実施)でも、それまでの記録や要約、説明、論述、話し合いといった活動の充実が「思考力・判断力・表現力等の育成に大きな効果を上げてきた」(16年12月の中央教育審議会答申)ということで、引き続き言語活動を充実することにしています。

2回の試行調査問題で改めてクローズアップされたのは、複雑な設問を正しく読み取り、答える力の重要性です。記述式への対応には普段から文章を書くことを苦にしないような訓練はもちろん、自己採点で正当に自己評価できるようにするためにも、言語活動の充実が不可欠です。
言語活動は、国語を核にしながらも、各教科等で行うことになっています。さらに新指導要領では、実験レポートの作成や、立場や根拠を明確にして議論することなど、学習の基盤として各教科等の言語活動を充実させることを明確にしました。

新指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」による授業改善が求められます。ぜひ言語活動の充実で、新しい共通テストにも難なく対応できる力を付けてほしいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※大学入試センター「大学入学共通テストの導入に向けた平成30年度(2018年度)試行調査(プレテスト)の結果報告及び地理歴史A科目の参考問題例について」
https://www.dnc.ac.jp/news/20190404-03.html

※中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm


2019年11月1日、文部科学省より2020年度(令和2年度)の大学入試における英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入を見送ることが発表されました。

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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