「EdTech」で経産省も教育改革を後押し

あらゆるものがインターネットとつながるIoT(モノのインターネット)や、人工知能(AI)技術の発達により、生産や販売、消費などの経済活動に影響を与える「第4次産業革命」が進展しています。
教育分野では、教育(Education)とテクノロジー(Technology)を融合させた「EdTech」を用いて、新たな教室像を描くプロジェクト「未来の教室」が進行中です。その実証事業が本格化。取り組み内容が明らかになってきました。

テクノロジーで探究学習を深める

「未来の教室」は経済産業省がリードして実施している事業で、「『未来の教室』とEdTech研究会」が6月末にまとめた第1次提言をもとに展開しています。民間企業やNPO法人、教育機関などが提供する新しい教育サービスやプログラムを実際に学校で行ってみて、実用化に向け効果や問題点を確かめようとするものです。5月に公募、7月に採択発表した第1次公募に続き、第2次公募があり、このほど18の事業が決定しました。
今回の公募は、第1次公募でカバーできていないエリアが優先されました。就学前教育分野、大学や高等専門学校向けのプログラム、小中高の「探究学習」や「教科学習の生産性向上」に関するものです。第1次公募では、社会人向けの能力開発プログラムが多かったのですが、今回は小中高を対象とした事業が多く採択されました。

STEM(科学=Science、技術=Technology、工学=Engineering、数学=Mathematics)やSTEAM(STEMに芸術=Artを加えたもの)の分野も注目されます。テーマIIの「産業界と連携したSTEM/STEAM(教科横断)プログラム」では、教育以外の異業種の民間企業と学校とのコラボレーションが特色です。ある分野の産業が抱える課題を企業が子どもたちに提示し、探究的な学習を行おうというものです。
たとえば、▽旅行代理店が小中高とコラボして、ビッグデータを活用しながら観光を学べる機会を作る▽農業ベンチャーが、農業用ICT技術を学ぶ機会を農業高校に提供する……などです。
テーマIII「就学前教育向けの新たなサービス/プログラム/教育手法」ではお茶の水女子大学こども園が、サイエンスとアートが融合したSTEAM探究型プロジェクトを開発します。「こども園ラボ」として、就学前教育の在り方を提示するとしています。

先生の育成もオンラインで

さらに、こうした探究型学習を教えられ、プロジェクトを立案できる教員や、教育現場を改革できる中堅の先生を育成する事業も、「Ⅴ 学校マネジメント/教員の能力向上・意識改革プログラム」として採択されました。オンラインを使った教員研修や、先生自身の課題解決力を高めるワークショップを実施する5事業が決まっています。
第2次採択事業は秋から冬にかけて行われ、今年度末に成果報告書を提出するスケジュールです。

教育に関わる取り組みは文部科学省や教育委員会だけがおこなっていると思われがちですが、経産省も負けていません。AI時代の未来を生きる子どもたちが育つ学校に、新たな風を吹き込む役割を担えるか、期待が高まります。
経産省は2018年11月5日に「未来の教室」実証事業中間報告会を開催し、当日の様子を 「未来の教室」フェイスブックページで動画配信しています。

(筆者:長尾康子)

※「『未来の教室』実証事業」の委託事業者公募(第2次公募) 採択事業一覧
https://www.learning-innovation.go.jp/koubo_sokuhou

※「未来の教室」実証事業中間報告会
https://www.facebook.com/METI.learninginnovation/

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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