「創造社会」に経済界が求める人材とは

ニュースをチェックしていると、「AI(人工知能)」や「IoT(モノのインターネット)」といった言葉を見ない日はありません。これから子どもたちが出ていく社会は「第4次産業革命」による「超スマート社会=Society(ソサエティー)5.0」とも呼ばれ、今ある仕事の半分が入れ替わるとも言われています。そんな新しい時代に備えるため、身に付けておくべき能力とは何なのでしょうか。

「想像力」と「創造力」でデジタルを駆使

日本経済団体連合会(経団連)は先頃、「Society 5.0-ともに創造する未来-」と題する提言をまとめました。AIをはじめとしたデジタル革新によって、個人の生活や産業構造、雇用など、社会の在り方が大きく変わるとして、情報社会に続くSociety 5.0を「創造社会」と名付けました。
そんな時代に必要になるのは、(1)社会に散らばる多様なニーズや課題を読み取り、それを解決するシナリオを設計する豊かな想像力 (2)デジタル技術やデータを活用して、それを現実のものとする創造力……だといいます。デジタル革新と多様な人々の想像力・創造力を融合することで「課題解決」を図り、未来をより明るいものへと導く「価値創造」をもたらす……というわけです。

そんなSociety5.0時代に求められる人材は、「自分の頭で考え、自ら課題を見つけ、解決策を設計し、AIなどを活用してそれを現実のものとする力」「多様性を持った集団におけるリーダーシップ」だとしています。
具体的には、▽暗記ではなく知識を活用し自分で考える力▽文章や情報を正確に読み解く力▽自らの意思や考えを正しく的確に表現し伝える力▽科学的・論理的に思考する力▽価値を発見する感性▽好奇心・探求力▽倫理観▽テクノロジーを使いこなすための情報科学・数学・統計・生命科学等の基礎的な知識……などが求められるとしています。

新指導要領で既に準備

提言では、そのために小・中・高・大の教育も、他人と異なる異質な考えや能力を褒めて伸ばす方向に、大きく転換する必要があると指摘しています。ただ、そうした考え方は、2020年度から順次、本格実施に入る新しい学習指導要領に、既に盛り込まれています。
新指導要領では、小学校からプログラミング教育が導入されることが注目を集めています。それは単に早くからテクノロジーに慣れ親しませるということにとどまらず、プログラムを組むため論理的に考える「プログラミング的思考」を身に付けさせるためです。

もっと大きく言えば、新指導要領は全ての教科等を(1)知識・技能 (2)思考力・判断力・表現力等 (3)学びに向かう力・人間性等……という共通の三つの柱で整理し、教科等の学びを超えて、どんな社会が来ても立ち向かえる資質・能力を育成しようとしています。また、文部科学省のタスクフォース(特別作業班、TF)は6月にまとめた提言に「文理分断からの脱却」を掲げました。

新指導要領はまた、「社会に開かれた教育課程」をキャッチフレーズに、子どもたちが未来の創り手となれるような資質・能力の育成を求めています。地域や企業など社会と積極的に連携して、次世代に求められる人材像にも適用できるようカスタマイズすることが、各学校に期待されているのです。

(筆者:渡辺敦司)

※経団連「Society 5.0-ともに創造する未来-」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/095.html

※新学習指導要領(文科省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1383986.htm

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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