国内の大学進学でも使える「国際バカロレア」

探究心や知識、思いやりに富んだ若者を育成する国際的な教育プログラム「国際バカロレア(IB)」。このプログラムを導入する学校を増やすため、国は共同事業体(コンソーシアム)を立ち上げました。海外大学進学や帰国子女対応のイメージが強いIBですが、新学習指導要領が目指す学びに通じる部分もあります。最終試験で獲得したスコアを、日本の大学進学に活用する動きも広がっています。

議論や発表中心の学び

IBは「多様な文化を理解・尊重し、より平和な世界の構築に貢献する探究心や知識、思いやりに富んだ若者を育成する」という目的の下、スイス・ジュネーブに本部を置く「国際バカロレア機構」が提供する国際的な教育プログラムです。

世界で5,000以上の学校が認定を受けており、日本では延べ134校(6月時点)が認定または候補校となっています。国は今年5月、「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」を設立し、IBの普及啓発や導入校への支援を始めました。
IBは、3~12歳対象のプライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP、日本では小学校に相当)、11~16歳対象のミドル・イヤーズ・プログラム(MYP、同中学校)、16~19歳までを対象としたディプロマ・プログラム(DP、同高校)などのプログラムがあります。インターナショナルスクール以外の一般の中学校でMYPが導入されているケースは少なく、高校では私立学校を中心に「IBコース」などとしてDPの導入が進んでいます。

DPのカリキュラムは「言語と文学(母国語)」「理科」などの6つの教科群があり、一般の高校では、これらを日本の指導要領に定められた教科と対応させながら、カリキュラムを組み立てています。
学び方は知識暗記型ではなく、調べ学習や発表、話し合いなどが中心です。論文作成や地域での活動なども必修です。世界で一斉に行われる最終試験を経て、国際的な大学入学資格「国際バカロレア資格」のスコアを取得できます。

最終試験のスコアを活用するIB入試が広がる

IBはかなり独特な教育をしていると思われるかもしれませんが、新指導要領で導入される「主体的・対話的で深い学び」との共通点も見いだせます。
DPの一部の科目は日本語でも実施可能となったため、オールイングリッシュによるハードルの高さも若干低くなってきました。そのため、公立の中等教育学校で導入するケースも出てきています。

さらに、DPのスコアを日本の大学入試の出願時に活用する「IB入試」を実施する大学も国公立・私立とも増えています。「日本の大学受験との両立は難しい」と言われてきましたが、そうした障壁も解消されつつあります。
IBで学んだ生徒は、英語力、批判的な思考力、プレゼンテーション力などが身に付いているため、AO入試にも対応できるのが強みです。今後は日本の大学進学にも使える学び方として、ますます注目が高まりそうです。

(筆者:長尾康子)

※国際バカロレアについて(文科省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/index.htm

※文部科学省IB教育推進コンソーシアム
https://ibconsortium.mext.go.jp/

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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