大学の大幅再編は避けられない!?

8月初めに発表された文部科学省などの調査で、大学の学生数が過去最高となったり、定員割れの私立大学が減ったりするなどの結果が出ました。しかし少子化が進む中、大学の将来は安泰ではありません。中央教育審議会も、今年生まれた子どもが大学を卒業するタイミングに当たる2040年に、大学など高等教育機関の規模がどうあるべきかの将来像を、秋頃までに答申したい考えです。

私大の定員割れは減ったけれど

文科省の学校基本調査では今年度、4年制大学への進学率(浪人を含む)が53.3%(前年度比0.7ポイント増)で過去最高を更新。学生数も290万人を超えました。日本私立学校振興・共済事業団の調査を見ると、定員割れした私立大学の割合が36.1%と3分の1を占めていますが、前年に比べれば3.3ポイント(19校)減っています。
ただ、気になる数値もあります。大学への入学者が62万8,821人と、前年度に比べわずか0.1%(912人)ですが減少に転じたのです。

今年度は、大学関係者の間で「2018年問題」と呼ばれた年でした。主な大学入学年齢である18歳の人口が、ここ数年は120万人前後の踊り場状態になっていたものの、2018年度に118万人となるのを手始めに、また本格的な減少期に入るからです。
今までは大学進学率が上昇しているため、18歳人口減の減少分を補えていました。それも限界に達しているのかもしれません。
一方で大学数は今も増加傾向を続け、今年度は前年度比2校増の782校となっています。2019年度にはこれに新しい大学の種類である「専門職大学」も加わります。減っていく18歳の進学希望者をめぐる獲得競争が、いっそう激化することも予想されます。

2040年には進学者数が今の8割に縮小

今春、定員割れ大学が減ったのも、「地方創生」を掲げる政府の方針に沿って、大都市圏の入学定員管理が厳格化された側面が大きいと見られます。大学は通例、入学辞退を見越して多めに合格通知を出すため、見込み違いで入学者が入学定員を上回ってしまうことが少なくないのですが、地方大学に学生を回したい政府の方針で、定員に対する学生の割合を示す「定員充足率」が1.0を超えた場合、国・私立を問わず、資金面のペナルティーを科すこととし、とりわけ規模の大きい大学ほど厳しくすることにしたのです。

ただ、18歳のパイ自体が縮小する以上、小手先の対応では、今のように増えた大学の数を維持することは、とてもできません。特に地方大学は深刻です。一方で自然に任せていては、大都市圏への一極集中がますます進むことが予想されます。
中央教育審議会の部会は、2040年には大学進学率が57.4%にとどまると推計しています。今年度と比べれば、4ポイントほどの増にすぎません。これにより大学進学者は約51万人と、今の8割程度になるといいます。

中教審は、各大学が単独で教育を完結させるのではなく、地域などで連携・協働する仕組みづくりを提言しています。そうした中で、統廃合の話も自然に出てくることを期待しているようです。
今後、地域やブロックで、短大や専門学校も含めた高等教育機関の在り方を真剣に考えることが求められます。その中で大学も、大幅再編が避けられないでしょう。

(筆者:渡辺敦司)

※2018年度学校基本調査速報
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1407849.htm

※2018年度私立大学・短期大学等入学志願動向
http://www.shigaku.go.jp/files/shigandoukouH30.pdf

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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