どうなる?大学入学共通テスト 小学生のうちから「考える」習慣づけが大切に!?
既に多くの報道がなされていますが、今の高1生より下の世代から、大学入試が大きく変わります。中でも大きな目玉の一つが、「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」)が導入されること。保護者世代が受験した「大学入試センター試験」以下「センター試験」)に代わって開発中の新テストで、出題方式はもちろん、そこで問われる「学力」の中身も大きく変わります。
大学受験なんてずっと先の話———。そんな風に感じる小学生の保護者の方も多いと思いますが、「先のこと」だからこそ、今から準備できることもあるはずです。先日、大学入試センターが発表した文書(*1)等をもとに、どんな試験になるのか改めて見ていきましょう。
思考・判断・表現力を重視!
「共通テスト」と「センター試験」の最大の違いは、そこで問われる学力の「質」が変わることです。というのも、今後の社会情勢を考えた場合、知識や技能を持っているだけではなく、それらを「思考・判断・表現」する力がますます重要になるからです。
実際、今回示された文書では「共通テスト」の目的を「大学教育の基礎力となる知識及び技能や思考力、判断力、表現力がどの程度身についたかを問おうとする」としています。
国語・数学では記述式問題を導入!
では、具体的にどのような形式のテストになるのでしょうか?センター試験との違いをまとめたのが以下の図です。同じマークシート式でも、形式を工夫した問題(正答が一つとは限らない問題や、複数の問題の解答を組み合わせて解答する問題など)や、国語と数学では、記述式問題の導入が検討されています。単に答えを出すだけではなく、答えを導き出すプロセスや、それを文章としてまとめる力が問われるわけです。
実際に、昨年実施された「試行調査」(本番に向けた調整を行うためのテスト)(*2)を見てみましょう。以下に示したのは「国語」の問題ですが、問題文で示されるのは「青原高校」という架空の学校の部活動規約や、生徒へのアンケ—ト結果、生徒の会話文といった様々な資料です。記述式問題は、それら複数の資料を読み解いた上で、「部活を新設するために必要な手続き」や、「生徒会で交わされた議論の内容」を考えさせるものとなっています。多様な文書やデータを読み解く力はもちろん、それらを複合的に判断し、正確に文書で伝える力を問おうとしているのです。
英語では民間の「資格・検定試験」を活用
出題の変化と合わせ、もう一つ着目したいのが「英語」の変化です。「センター試験」では、大学入試センターが作問し、「聞く」「読む」の2技能を問う出題となっていましたが「共通テスト」では、「GTEC」、「英検(*2)」などの資格・検定試験を活用。そのスコアを大学に提出し、判定材料とするシステムに切り替わっていきます。
ここで重要なのが、これらの資格・検定試験では「聞く」「読む」に「話す」「書く」を加えた、いわゆる英語4技能がバランスよく求められること。英語においてもまた、問われる力が保護者の時代とは変わってくるのです。
日常生活の中で「問いかけ」を!
「思考・判断・表現力」の重視や、英語の4技能化——。小学生がこれから迎える大学受験は、保護者世代とは大きく変わっていきます。保護者自身が情報をキャッチアップするのはもちろん、子どもたち自身が、知っていることをさらに深く考えたり、それをうまく言葉にする経験を積むことが大切になると思います。
一見、難しいことのように思えますが、日々の生活の中でそうした機会はきっと見つけられるはずです。子どもが興味を持ったことを話しているとき「もっと詳しく教えて!」と聞いてみたり、「〇〇ちゃんに教えてあげるとしたら、どんな風に言えば伝わるかな?」と促してみるetc.であれば、ちょっとした工夫でできるはず。一見、些細なことかもしれませんが、そうした小さなやりとりの積み重ねこそが、日常生活の中で「思考・判断・表現力」を伸ばし、ひいては受験で求められる力を伸ばしていくことにもつながるのではないかと思います。
(*1)大学入試センター「大学入学共通テスト」における問題作成の方向性等と本年11月に実施する試行調査(プレテスト)の趣旨について」(2018.06.13)
(*2)「従来型」を除く、新設される「公開会場実施」「1日完結型」「4技能CBT」。
2019年11月1日、文部科学省より2020年度(令和2年度)の大学入試における英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の導入を見送ることが発表されました。