留学経験者を積極採用したい企業が約6割
大学生の就職率が98%と過去最高を記録するなか、企業採用担当の約6割が、留学経験者を積極的に採用したいと考えていることがわかりました。語学力だけでなく、チャレンジ精神が採用ポイントとして期待されています。
今や留学による休学を不利と考えない企業も出てきています。政府の留学促進制度を活用すれば、高校生のうちから奨学金を得て海外留学することも可能です。
就活に不利ではない
文部科学省の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」は今年5月、全国の大学生と企業採用担当を対象に「就職活動と留学に関する意識調査」を行いました。企業採用担当の63.6%が「留学経験者を積極採用したい」、55.3%が「留学経験のある学生の採用割合が増えている」と回答しています。
これまで、留学をすると「大学を休学しなければいけない」「帰国のタイミングが遅くなり情報収集が出遅れる」などの理由から、「留学は就職活動に不利になる」と言われてきました。しかし意識調査では、企業採用担当の73.1%が「留年や休学は採用においてマイナス評価にならない」と答えています。
近年、ネットによるエントリーが当たり前になってきたこと、オンライン面接や柔軟な採用時期を導入する企業が増えてきたことが、背景にあると見られます。
語学力よりチャレンジ精神
企業は、大学生の留学経験にどのようなことを期待しているのでしょうか。
学生に留学で得てほしいこととして、「何事にも挑戦するチャレンジ精神」(65%)「対人コミュニケーション能力」(59.8%)「広い視野で物事を捉えることができる力」(54%)を挙げています。こうした回答の割合は「語学の習得」(44.8%)より高く、積極的に人と関わる力や視野を広く持つことを、海外留学経験者に期待していることがわかります。
語学力を磨くにはある程度の留学期間が必要ですが、チャレンジ精神や広い視野を育む経験なら、1か月の留学でも可能です。また、大学生になる前の高校生のうちに夏休みを活用して留学することも可能でしょう。
問題となる留学費用に関しては、官民協働の留学制度である「トビタテ!留学JAPAN」の活用を検討してみてはどうでしょう。
3年前から新設された高校生コースでは、2週間から1年間、語学習得からプロフェッショナル、スポーツ・芸術、ボランティアまで多彩な分野にわたり、返済不要の奨学金が支給されています。募集は毎年10月から始まり、書類・面接審査を経て翌年5月に決定、7月に出発するスケジュールとなっています。
こうした支援制度は、今の保護者が中高生のころにはなかったものです。今はグローバル人材の育成に向けて、国を挙げて支援策を進めています。「留学はお金が掛かるもの」というイメージを一度取り払って、情報収集してみてはどうでしょうか。
(筆者:長尾康子)
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