SGHはどんな教育をしているのか 意外と厳しい文科省の評価

文部科学省が「スーパーグローバルハイスクール」(SGH)という事業を実施していることをご存じでしょうか。文字通り「グローバルリーダー」を育成するためのカリキュラムをつくることが目的で、現在までに全国で123校(国立12、公立73、私立38)がSGHに指定されています。このうち2015(平成27)年度に指定された56校のSGHについて文科省は、中間評価の結果を公表しました。グローバルリーダーを育成するための教育とはどんなものでしょうか。

全国で123校、地域トップ校も

SGHは2014(平成26)年度からスタートした事業で、指定されれば高校としては破格の年間約1,600万円(上限)の補助金が受けられる他、学習指導要領に縛られない教育をすることが可能になります。全国公募した結果、2014(平成26)年度は246校中56校、15(同27)年度は190校中56校、16(同28)年度は114校中11校がSGHに指定されました。

一部には「スーパーグローバル」という英語はおかしいという批判もありますが、指定獲得の競争率を見てもSGHに選ばれることの大変さがわかると思います。また指定校には各地域のトップ校が少なくないというのもSGHの特徴の一つです。

SGHは指定期間が5年間で、指定3年目に文科省による中間評価を受けることになっています。発表された2015(平成27)年度指定のSGH56校の評価を見ると、「優れた取組状況であり、(中略)更なる発展が期待される」という最高評価を受けたのが4校、「研究開発のねらいの達成が可能と判断される」という優秀評価が19校、「ねらいの達成がおおむね可能」が17校、「一層努力することが必要」が12校、「当初計画の変更等の対応が必要」が3校、「経費の大幅な減額又は指定の解除が適当」が1校でした。

グローバルリーダーの育成に必要なものは

最高評価を受けた4校の内容を見ると、「学校全体で『協働的探究学習』を取り入れた授業改善に取り組み」(名古屋大学附属中・高校)、「アクティブ・ラーニングへの指導法転換が取組を支えている」(京都府立鳥羽高校)、「教科で習得した学びを課題解決に役立てている」(関西創価高校)、「ローカル・グローバル・グローカルな一貫性のあるプログラムを開発し、段階的にグローバル能力を育成する」(愛媛大学附属高校)などの点が高評価を受けています。

逆に評価の低かったSGHでは、「探究のプロセスを意識した指導を充実させる必要がある」「授業改善の方向性が、グローバル人材として必要な資質・能力の育成ではなく、大学入試問題分析から行った例が示されており、研究の重点がずれている」「海外体験・英語体験にとどまっている」などの点が批判されています。

これらのことから、グローバルリーダーの育成で重視されているのは、社会課題に対する関心、コミュニケーション能力、他者と協働できる力、問題解決能力などと言えます。単なる英語力の向上や大学入試のための学力アップでは、グローバルリーダーは育てられないということでしょう。
子どもの進学先を選ぶ際にSGHのリストやその評価を参考にしてみてはいかがでしょうか。

※スーパーグローバルハイスクール(平成27年度指定)の中間評価について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/09/1396726.htm

※スーパーグローバルハイスクール
http://www.sghc.jp/

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A