子どものスマホ、実態と留意点は?
新学期をきっかけに、お子さんにスマートフォン(スマホ)などの携帯電話(ケータイ)を買い与えたというご家庭も多いことでしょう。しかし普及に伴って、トラブルに巻き込まれる危険性も高まっています。今、何が必要なのでしょうか。
使い過ぎで心身の不調も
内閣府の最新調査(2016<平成28>年11~12月現在)によると、青少年のスマホ所有率は小学生27.0%、中学生51.7%、高校生94.8%。従来型携帯電話(ガラパゴスケータイ=ガラケー)の所有率は各28.2%、14.2%、3.2%ですから、小学生でも半々、高校生ではほとんどがスマホに切り替わっています。
しかも、スマホを持ちながらインターネットを使っていないのは各4.7%、4.4%、1.9%だけです。スマホで平日2時間以上ネットを利用しているのは、小学生でも4人に1人(24.8%)、中学生では2人に1人(52.1%)、高校生になると4人に3人近く(72.1%)を占めます。高校生は8人に1人(12.4%)が5時間以上使っているといいます。
それだけ長時間になると、勉強などの時間がなくなるだけでなく、心身にも変調をきたします。情報セキュリティーメーカー「デジタルアーツ」の調査(2017<平成29>年1月現在)によると、高校生の4人に1人(男子24.3%、女子25.2%)が0~3時の深夜帯にケータイを使っています。その結果、「学校の成績が落ちてきたと注意された」(各21.4%、20.4%)だけでなく、「頭痛等の体調不良になる回数が増えた」(各15.5%、26.2%)子も少なくありません。とりわけ女子には注意が必要なようです。
一方、ネット上で小遣い稼ぎをした経験があるのは、男子が73.8%と前回(2016<平成28>年1月)に比べ5.8ポイント減ったものの、女子では12.7ポイントも増えて81.6%になりました。ポイント交換やネット販売に加え、条件の緩和されたLINEスタンプ作成で稼ぐ子も少なくありません。
リアルと地続きのバーチャル世界
これだけスマホが普及したのに、有害情報を遮断するフィルタリングの使用率は53.9%で、前回より1.6ポイント増えたにすぎません。しかも小学生では前回と同じ51.0%で、急速な普及率の伸びを考えると「対応が必要だ」と同社では指摘します。
とりわけLINEは、使用率が子ども全体で73.9%、高校生になると男子94.2%、女子96.1%と、広く普及するアプリケーション(アプリ)です。ネット上の友達と「会ってみたい」「会ったことがある」子どもは、小学生の女子で55.6%(前回比24.3ポイント増)と半数を超えました。
佐賀大学の若本純子准教授は、「安心ネットづくり促進協議会」(安心協)の研究発表会で、LINEが「現実と地続きになっているという、他のインターネットコミュニケーションとは違う特徴がある」と指摘しました。もはやバーチャル(仮想的)な世界の話だと悠長に構えていてはいられません。いじめをはじめとしたネットトラブルを避けるにも、リアル(現実的)な対人関係のコミュニケーションを解決する必要があるといいます。
デジタルアーツの調査では、ネット利用のリスクに対する意識が、子どもはもとより保護者も低いという実態も浮かび上がっています。スマホを買い与える以上、その望ましい使い方について、親子で話し合い、学び合うことは必須なのです。
※内閣府 2016年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)
http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h28/net-jittai/pdf/sokuhou.pdf
※デジタルアーツ 未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査
http://www.daj.jp/company/release/2017/0301_01/
(筆者:渡辺敦司)