どう変化する? 放課後の子どもたちの居場所

厚生労働省の発表によると、共働き家庭などの小学生を放課後に預かる「放課後児童クラブ(学童保育)」は2013(平成25)年5月1日現在で、前年同時期よりも約400か所増加し、登録している児童の数は、約3万7,000人増加して約89万人に達しました。一方で利用できなかった児童も前年より約1,200人増えて、約8,700人の児童が希望しても利用できなかったという調査結果が出ています。



放課後児童クラブの運営主体はさまざま

ひとことで「放課後児童クラブ」と言っても運営主体はさまざまです。
放課後児童クラブの施設運営主体の数と割合は、下表のとおりです。



2007(平成19)年の調査と比較すると、行政機関が直接または委託する方式が減少し、NPO法人などの民間の法人が増加していることがわかります。

では、保護者が負担する費用の状況はどうでしょうか。



行政機関から委託された団体や民間法人が運営主体となっている場合の保護者負担は、公立公営と比較して負担が重いことがわかります。

この二つの調査結果から見えてくることは、運営主体は、年々公立公営から民間法人などへ移行していて、その保護者負担が公立公営よりも重いことから、保護者の負担が重くなっている人が増えているといえるでしょう。
保護者の負担額は、地方自治体によって大きく異なっています。大阪府の放課後児童クラブの保護者負担額は約5,000円、横浜市の放課後児童クラブの保護者の平均的負担額は、2013(平成25)年4月現在でなんと1万6,500円です。



学童保育ビジネスが進出

前述したように、放課後児童クラブを希望しても入れなかったり、通っている小学校に設置されていなかったりした<待機児童>が年々増加しています。

その受け皿として今、民間企業が「学童保育ビジネス」に進出し始めています。中学受験塾・スポーツクラブ・英語教室等を経営している企業が、子どもに習い事を提供しながら「保育」もするというシステムです。
週5日通い、いくつかの習い事を選択し、宿題などもすませます。オプションで夕食を取り、夜の10時まで預かる施設もあります。
保護者が帰宅するまで安心して預けられるのが魅力ですが、月々の利用料金は、5万円前後かかるのが一般的で、従来の放課後児童クラブと比較すれば数倍の費用がかかることになります。



放課後児童クラブの今後の動き

2014(平成26)年5月28日、政府は共働き家庭などの小学生を放課後に預かる放課後児童クラブ(学童保育)の定員枠を19(同31)年度までに30万人分拡充するための「放課後子ども総合プラン」を策定するという方針を発表しました。
現在も、文部科学省の「放課後子ども教室」と厚生労働省の「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ・学童保育)」が連携して「放課後子どもプラン」が実施されています。

今回打ち出された「放課後子ども総合プラン」は、一体型の放課後児童クラブ・放課後子ども教室の強力な推進を柱にして、国は、市町村行動計画を策定して整備する市町村に対し、財政支援するとしています。
現在、たとえば大阪府では文部科学省の「放課後子ども教室」は「おおさか元気広場」という名称で、対象はすべての子ども、費用は原則無料ですが、実施日数は年間平均約68日です。一方、厚生労働省の「放課後児童クラブ」は、対象が、保護者が労働等により昼間家庭にいない児童、費用は月額5,000円程度の保護者負担、実施日数は年間平均280日程度となっています。

具体的な情報がまだ少ないですが、一体化することで、「対象が広がり、保護者負担が軽減し、実施日数も充分である」という双方のよいところを生かした制度になることを期待して注目していきたいと思います。


プロフィール


宮里惠子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活アドバイザー。生命保険をはじめ、教育費関連や住宅ローンについて雑誌・新聞・Webで執筆。地域に根をはるFPを目指して、横浜市北部エリアで活動している。若い世代に対する消費者教育の必要性を強く感じている。

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