大学生のインターンシップ多様化へ 長期、有給など-斎藤剛史-

大学生などが実際の企業などで就業体験をする「インターンシップ」は、就職活動などのニュースをとおして一般社会にも広く認知されつつあります。このような社会の変化を受けて文部科学・厚生労働・経済産業の3省は、大学生などのインターンシップのガイドラインを17年ぶりに改定しました。見直しのポイントは、インターンシップの成果を大学が積極的に単位認定すること、長期インターンシップや有給インターンシップなど実施形態の多様化を図ることなどを求めている点です。今後、インターンシップは大学生にとって、さらに身近な存在になるかもしれません。

米国などで行われているインターンシップは、1997(平成9)年に当時の文部省・労働省・通商産業省が運用指針をまとめたことで日本でも導入され始め、次第に広がってきました。文科省の調べ(外部のPDFにリンク)によると、2011(平成23)年度にインターンシップを授業科目として単位認定している大学は70.3%、特定資格取得のための現場実習に関するインターンシップを単位認定している大学は87.8%に上るまでになっています。このため文科省は、さらなる拡大に向けて協力者会議で方策を検討していました。今回の指針改定は、その報告を具体化したものです。

3省による新指針は、積極的に「インターンシップを大学等の単位に組み込むこと」を求めています。前述のように7~9割の大学が既にインターンシップに単位を認めていますが、実際の対象となっている大学生は全体の2.2%、特定資格絡みでも10.5%しかいません。単位化を進めることでインターンシップに対する学生の負担を軽減し、参加者を拡大しようという狙いのようです。
また、通常の短期インターンシップ(1週間程度)に加えて、中長期インターンシップ、大学の授業と企業での実践的研修を定期的に繰り返す「コーオプ教育プログラム」型のインターンシップ、有給インターンシップなど、インターンシップの形態を多様化することも求めています。この他、現行では自粛されている就職活動開始時期以降でもインターンシップを実施できることにし、その場合にはインターンシップの成果などを採用選考などに利用することを認めました。

ところで、2015(平成27)年度の大学卒業予定者から就職活動の日程が変わり、企業の広報活動開始時期が3年生の3月(現行は3年生の12月)以降、採用選考開始時期が4年生の8月(現行は4年生の4月)以降に繰り下げられます。現在、インターンシップの多くは3年生の夏休みに実施されていますが、新しい就活日程ではこの時期が企業の採用選考時期と重なるため、人事担当部署などの多忙化により実質的にインターンシップの実施が困難となります。3省による新指針は、大学生のインターンシップを拡大すると同時に、インターンシップの形態や時期の多様化を図ることで、新しい就活日程に対応するという狙いもあるようです。これからの大学生にとって、インターンシップはより一層重要なものとなりそうです。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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