あいさつができません[教えて!親野先生]

【質問】

 

田舎なので近所や親戚の人と接する機会が多いのですが、周りの子はあいさつがしっかりできるのに、うちの子だけできないことが多いです。したとしても、小さい声でしかできません。気持ちの良いあいさつがしっかりできるようにするには、どうしたらよいでしょうか? (うっちー さん:小学1年生女子)


あいさつができません[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

うっちーさん、拝読いたしました。

周りの子はしっかりあいさつできるのに、うちの子だけができないという状況は、親としては焦りますね。
でも、これは持って生まれた性格的なこともあります。ですから、あまり性急に考えないで長い目で見ることが大切です。
ひと言で言えば、親にできることをやりつつ長い目で見ながら待つことが大事です。同時に、やってはいけないことは絶対にやらないということも大事です。
これが正しい待ち方です。

では、親にできることとはどういうことでしょうか?
まず大切なのは、親自身が率先して子どもや家族や周りの人たちに気持ちの良いあいさつをすることです。
たとえば、「おはよう」「おやすみ」「どうぞ」「ありがとう」「ごめんね」「いただきます」「ごちそうさま」「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」などです。
親が毎日笑顔で気持ち良くあいさつしていれば、それが子どもにとって最高のお手本になります。

子どものあいさつをほめてあげることも大切です。何事においてもそうですが、子どもがちょっとでもできているときに、それを見逃さずにほめてあげることが子どもを伸ばす秘訣です。
あいさつが苦手な子には会釈を教えてあげると良いでしょう。たとえば、「頭ペコリをすると良いよ。それもあいさつのひとつで『会釈』っていうんだよ」と教えてあげるのです。「こんにちは」と口に出して言えない子でも、これならできるかもしれません。
それで子どもが会釈したら、「あいさつできたね」とほめてあげます。それによって自信がつきます。

また、あいさつが苦手な子でも、もっとほかにほめられるところがあるはずです。
パズルが好き、花を育てている、手先が器用で何かをつくるのが上手、読書が好き、運動が得意、などなど、何でも良いのです。
とにかく、その子のほめられるところを見つけ出して、たくさんほめてあげましょう。同時に、それがさらに好きで得意になるようにバックアップしてあげてください。
すると、「これは得意だ」と思えるものができて自分に自信が持てるようになってきます。自分に自信が持てることで、自然にあいさつもできるようになっていきます。

ということで、これらのことが親にできることです。
では、やってはいけないこととはどういうことでしょうか?

それは、あいさつができないからと言って子どもを叱ることです。

親がなんとかあいさつできるようにさせたいと思っても、子どもが内向的で引っ込み思案で恥ずかしがり屋な性格の場合は、なかなかできるようにならないことが多いと思います。そういうときは、目をつぶって許してあげてください。
「なんであいさつしないんだ。あいさつしなきゃダメだろ!」「あいさつもできないなんて、情けない」などと、否定的に叱って苦しめるようなことはしないでください。
特に、きょうだいや親戚の子、あるいはクラスや近所のほかの子と比べて叱るなどということは絶対にやめてください。

あいさつに限らず何事においても、このようなやり方で子どものなかに良いものを育むことは決してできません。それどころか、子どもの内面に深刻なダメージを与えてしまいます。

まず、このような否定的な言い方で叱られることが多いと、子どもは自信喪失の状態になります。これでは、あいさつどころではありません。さらには、「自分はダメな子だ」と感じて自己肯定感が持てなくなります。
同時に、「ぼくはお母さんやお父さんにダメな子だと思われているようだ」「好かれていないのかもしれない」と感じてしまいます。
つまり、親に対する不信感・愛情不足感を持ってしまうのです。
良いことはひとつもありません。

このようなわけで、親にできることをやりつつ、やってはいけないことは絶対にやらないということが大事です。
そして、あとは長い目で見ることです。
これが正しい待ち方です。
そうしていれば、だんだんできるようになります。
そういう実例はたくさんあります。

私の教え子のある女の子は、小学2年生のときにはとてもおとなしくて、あいさつの声もクラスで一番小さかったです。その子が、中学3年生のときには学校の代表で県のスピーチコンテストに出場して、大勢の前で話をしました。
ある子は低学年のときにあいさつどころか「はい」という返事もできませんでしたが、5年生で自ら立候補して児童会の役員になりました。
もう1人紹介します。
これまた私の教え子ですが、その子は本人の弁によると「勉強も運動も苦手で、なにをやるにも遅くて、あいさつも整理整頓もできなくて、消極的で友達も少なかったので、親はもとより先生たちにもたいへんな心配をかけた」子でした。その子が、大人になった今では、毎日本当に楽しく働いているそうです。

ということで、親にできることをやりつつ、やってはいけないことは絶対やらないで、長い目で見るようにしてください。
このような正しい待ち方をしていれば、子どもはいずれ自分でやる気のスイッチを入れます。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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