家庭だからできるキャリア教育【後編】社会で求められる力とは

子どものキャリア教育で、家庭で培うことのできる力にはどのようなものがあるのでしょう。そして、保護者のできることは? 前回に引き続き、キャリア教育に詳しい宮城まり子教授にお話を伺います。



家庭だからできるキャリア教育【後編】社会で求められる力とは


「社会人基礎力」は家庭の中で培うことができる

経済産業省が掲げた定義に「社会人基礎力」というものがあります。これは、社会に出るまでに身につけておきたい、キャリア形成の「土台」となる力だとお考えください。

そして、これらの力と能力は、すべて家庭の生活習慣の中で、子どもの時から培うことができるものばかりです。
たとえば朝、自分の力で起床し、授業の準備をして、朝食を食べ、遅れずに登校することができれば、計画力や主体性、実行力などの力が養われていることになります。また、部活や集団スポーツなどに取り組むことで、他者に働きかける力やルールと約束を守る力、そしてストレスをコントールする力などが培われます。現状を把握して目的を明確にする課題意識を育てるには、子どもにお風呂そうじのような家事を、責任を持ってやってもらうとよいでしょう。



企業が欲しい人は「打たれ強い」人

わたしはさまざまな企業の人事のかたと話す機会が多いのですが、皆さん口をそろえて「意見や立場の違いを受け入れられる柔軟性と、ストレス・コントロール力のある人材が欲しい」とおっしゃいます。
どの企業も、これからどうなっていくかわかりません。そういう変化にしなやかに対応でき、多少のことではへこたれない「打たれ強い」若者を求めているのです。

うまくいかないことがあっても、それを乗り越えようとする心の強さも、キャリア教育として家庭を中心に育てたいものです。そのために保護者のかたができることは、お子さんの考える意欲(シンキング)や行動する力(アクション)を邪魔しないことに尽きます。なんでも先回りして準備したり、与えてしまったりすると、お子さんは待つのが当たり前になってしまいます。これでは問題を解決する力や、困難を乗り越える力はつきません。

お子さんが「◯◯ってなに?」とたずねても、すぐ答えを示すことはせず、「図書館で調べてごらん」のようにヒントを与えるだけにする……。子どものシンキングとアクションを育むには、保護者のちょっとしたガマンが大切です。



保護者の敷いたレールの先には挫折感が待っている

子どもの会社説明会に、保護者がついてくる時代です。そして、「お母さんの言うことを聞いていたら間違いないから」などと、進学先や就職先を決めてしまう保護者が増えています。
しかし、保護者が敷いたレールの上でキャリアやアイデンティティーを形成した子どもは、うまくいかなかった場合、深い挫折感を味わう可能性があります。
親のすすめる企業に就職したけれど、思っていたような仕事ではなかった。もしくは、親の望む業種はすべて不採用になってしまった。このようなことで、子どもはあっという間にアイデンティティーが崩れ、自分の方向性を見失ってしまいます。そして、社会復帰に時間がかかり、ニートになる恐れも否めません。
反面、自らの意志でキャリアを形成し、選択した子どもは、同じことが起きても「自分で選んだのだからしょうがない」と、自力で立ち直ることができます。

前回で述べてきたように、キャリア教育とは、その子が「どのようなことを大切にして生きたいのか」を子ども自身に考えさせ、そのための行動や勉強につなげていくことにあります。学力だけにこだわらず、ここで紹介した「社会人基礎力」のように、人生を通して必要とされる力を培うことを大切にして、お子さんのキャリア教育を考えていただけたらと思います。


プロフィール

宮城まり子

宮城まり子

法政大学キャリアデザイン学部教授。慶応義塾大学文学部心理学科卒。早稲田大学大学院心理学専攻修士課程修了。臨床心理士として東邦医科大学病院、聖母病院などで臨床活動に従事。2008年より現職。主な著書に『キャリアカウンセリング』(駿河台出版社)などがある。

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