総合学科、単位制……多様な高校、見極めのポイントは

以前の記事で紹介した「中高一貫教育校」と並んで、「総合学科高校」や「単位制高校」もその数が年々増加していることが、文部科学省の調査で明らかになりました。ただ、注意しなければならいことは、従来の普通科高校や職業高校とは異なり、総合学科や単位制という「看板」だけでは、どんな内容の学校なのかはよくわからない、ということです。

総合学科、単位制……多様な高校、見極めのポイントは


総合学科は、それまでの普通科、専門学科(旧職業学科)に次ぐ「第三の学科」として、1994(平成6)年度に創設されました。普通科は普通科目、専門学科は特定分野の専門科目を学ぶことに主眼を置いていますが、その両方を選択して学べるものです。調査結果によると、2003(平成15)年度に218校、2006(同18)年度に301校と増え続け、2008(同20)年度は全国で334校(国立3、公立295、私立36)を数えるまでになりました。「進路に合わせて科目が選べる」ということが、多様化の時代にマッチしたのでしょう。少子化のなかで、普通科高校と専門高校を統合して総合学科高校を新設するケースも増えています。

ただ、工業、農業など学ぶ内容が明確な専門学科とは異なり、「総合学科」というだけでは何を学べるのかわからない、という問題があります。ビジネスや情報工学などの専門科目に力を入れている総合学科もあれば、普通科目を中心にした総合学科もあります。そこでポイントになるのが、カリキュラムの中にある「系列」です。これは科目選択の目安として設けられたものですが、実際には系列ごとにクラス編成するところも多いようです。たとえば、「自然科学系列」「人文社会系列」「メカトロニクス系列」「ビジネス会計系列」「福祉生活科学系列」などがあり、その総合学科でどんなことを学べるのかの目安になります。

一方、単位制高校は、多様な選択科目の中から生徒自身が選択して時間割をつくっていける高校のことをいいます。1988(昭和63)年度から定時制・通信制で始まり、1993(平成5)年度から全日制でも認められるようになりました。調査によると1999(平成11)年度270校、2003(同15)年度513校、2006(同18)年度751校と増加し、2008(同20)年度は857校(国立3、公立712、私立142)となっています。定時制・通信制が主流ですが、最近では全日制も増えてきました。

学校がより多様であることも、単位制高校の特徴です。高校中退や不登校などの経験がある生徒を対象にした高校もあれば、県内トップ校を単位制に衣替えしたところもあります。定時制の中には「昼間制」といって昼間に授業を行い、一見して全日制と区別がつかないところもあります。それぞれの高校では、どんな生徒を対象にした学校なのかを明確にしていますので、学校の資料やホームページなどで、特徴をよく調べるとよいでしょう。
また、学年制を取っていないため、安易に勉強していると、標準修業年限(3年間もしくは4年間)で卒業できない、ということも起こりやすいので、科目選択や単位修得のための指導がどのくらい丁寧に行われているのかをチェックするのも、学校を選ぶ際の大事なポイントの一つでしょう。

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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