どうすればプラス思考で子どもを見ることができますか?【後編】[教えて!親野先生]

今週の相談

 

先生は、「プラス思考で……」とよくおっしゃいますが、どうしたらそのようになれるのですか? 中学2年生のうちの娘は、勉強もできないし、運動も苦手だし、だらしないし、私は、毎日怒ってばかりです。先生の回答を見ると「おっしゃるとおりだ!」といつも思います。怒っては良くないと思います。でも実際は、なかなかできません。子どもにも「なんでそんなに怒るんだ」と言われ、その言葉にまたきれてしまいます。性格だと思ってあきらめているこのごろです。(短気母 さん)

 

【親野先生のアドバイス】

短気母さん、拝読いたしました。

前回に引き続き、短気母さんへのアドバイスです。

私は、日常的に叱ったり怒ったりしたことの結果を、身をもって味わいました。
でも子育て真っ最中のみなさんは、まだ味わっていません。
それがまだ表に出て露(あら)わになっていないからです。
子どもが小さい時は、表だってはっきり目に見える形で出てこないことが多いのです。


でも、それが露わになる瞬間というのは必ずやってきます。
いつやってくるかはわかりませんが、そういう瞬間は人生の中で必ずやってくるのです。

明日かもしれませんし、数年後かもしれません。
思春期になって露わになることも多いですし、人生の節目で露わになることも多いのです。
何かの出来事や思いがけないことがきっかけで、露わになることもあります。

その時になって、私と同じようなつらい思いをしないでほしいと思います。
その時になってわかっても、遅いのです。
私は、先ほど「自分が本当に変われたのはそのことで大いに苦しんだ時でした」と書きました。
でも、みなさんの親子関係が壊れた時にわかるのでは、あまりにもつらすぎます。

ですから、私の経験をぜひ、参考にしてほしいと思います。
私の経験を、ぜひ他山の石にしてほしいと思います。
そのために、想像力を働かせてください。
経験の代わりになり得るのは、想像力だけです。

二つのやり方で想像力を使ってください。
まず、一つ目として、自分が実際につらい経験をする前に、その事態を想像してみてください。

親子の間に心の絆がない状態、信頼関係がない状態、子どもが話しかけてこない状態、何を言っても聞いてくれない状態、子どもが親を避ける状態……。
こういう状態をはっきり想像してみてください。
それがどんなにつらい状態か、はっきり思い浮かべてみてください。

想像力があるのは人間だけです。
人間だけが、事前に事態を予測してそのための対策が立てられるのです。
それが想像力の偉大な働きです。
実際につらい経験をする前に、想像力を使ってください。

そして、二つ目として、想像力を我が子の状態や気持ちを理解するのにも使ってください。
本当にその子の立場に立って、その子になったつもりで、想像してみてください。
それが相手に「思いをやる」こと、つまり「思いやり」です。

「自分がこの子の立場だったら、どう感じるだろう?」
「自分がこの子の立場だったら、怒られてどんな気持ちがするだろう?」
「自分がこの子の立場だったら、こう言われてやる気になるだろうか?」
「この子はどんな悩みがあって、どんな思いでいるのだろう?」

子どもだって、勉強や運動も得意になりたいし、だらしがないのも何とかしたいのです。

それでも、なかなか思うようにならないのです。
そんな子どもの気持ちを想像してみてください。

その子の立場に立って想像し、それを本当に理解することができれば、受け入れて共感する以外のことはできなくなります。
それが許すということです。

親子の人間関係は一生ものです。
その土台を、今の毎日が作っているのです。
毎日の親の一言一言、目つき、行い、それらのすべてが親子の関係を作っているのです。

そのことをしっかり心に刻み込んでください。

そして、一大決心をしてください。
もう同じことを繰り返さないという、不退転の決意です。
「毎日怒ってばかり」という状態を繰り返さないという、不退転の決意です。

一大決心は必要です。
これがなければ、成長はないのです。
「毎日怒ってばかり」を続けた結果やってくるだろうつらい状態を、はっきり思い浮かべてください。
そして、一大決心をしてください。

もちろん、さまざまな困難や難しい状況はあるでしょう。
でも、それらすべてにもかかわらず、自分と子どものために不退転の一大決心をしてください。
それが、自分をつくるということです。
自分で自分をつくれるのは、人間だけです。
そこにこそ、人間の自由があるのです。
そこにこそ、人間の尊厳があるのです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
短気母さん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。


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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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