「教育委員会」って何のためにあるのか、ご存じですか?


教育委員会という言葉を聞くと、「学校教育に関する様々な決定権を持つ」「自由な発想や活動を一律なルールで縛る」といった堅苦しくて、恐いイメージを持たれる保護者の方も多いのではないでしょうか?

「形骸化」「文部科学省の言いなり」……現状の教育委員会に批判の声
日本の教育委員会制度は、戦後間もない1948(昭和23)年に発足しました。この新制度が目指したのは、終戦までの国が指揮監督する中央集権的な教育体制を排し、国民自らがその地域の教育行政を担い、運営すること、つまり、教育行政の民主化でした。

教育委員会には地域住民の意見や要望に精通し、明確な責任感と機敏な行動力を備え、地域に密着した教育行政を主体的に推進することが期待されました。ところが、実際には文部科学省が教育委員会に指導・助言を行ったり、キャリアを出向させたり、補助金による統制を行ったりと、さまざまな形で関与してきました。

その結果、国民による国民のための教育を実現するために始まったはずの教育委員会制度は、発足から半世紀以上が過ぎた今、多くの教育界の識者から「制度が形骸化し、本来の役割をはたせていない」「文部科学省の言いなり。事務局案を追認するだけで自主性がない」「活力を失い、思い切った改革ができない」といった厳しい指摘を受けることになりました。

教育委員会制度の抜本的見直しへ
昨年12月、共同通信社が全国の知事を対象に教育委員会制度に関するアンケートを実施した結果、一部の県知事から「現在の教育委員会なら廃止してもいい!」といった過激な意見が飛び出しました。「現状の制度を維持すべき(18名)」をおさえて、「維持するが手直しが必要(19名)」という意見がトップとなり、「廃止(2名)」と「新制度の創立(1名)」を加えると、約半数の知事が現状の教育委員会には制度改革が必要との認識を示しました。

このような厳しい世論を背景に、文部科学省は教育委員会制度の抜本的見直しに向けて、中央教育審議会に諮問する方針を固めました。今回の見直し案では、国(文部科学省)と教育委員会の関係が焦点になっています。文科省としては、教育委員会に予算編成権や教職員の人事権などを委譲も視野に入れて、教育委員会組織の活性化や機能強化をはかる考えです。学校が枠組みや、中身を必死で改革する中、教育委員会が強力に学校改革をリードしてほしいというわけです。

教育の「地方自治」を実現するために作られた教育委員会が、今、再びその本来の意義に立ち返ろうとしています。保護者からすれば、自分たちの望む教育環境を実現させるために、教育委員会をどう活用していくのかといった視点が必要となるでしょう。保護者の願いが教育委員会の手によって実現するようになった時、その地域の教育力は大きく向上したといえるのではないでしょうか。


※ベネッセ教育総研とベネッセ未来教育センターは05年4月に統合し、新名称「ベネッセ教育研究開発センター」に変わりました。

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