ひらがな、数字を読むことも書くこともできません[教えて!親野先生]

今週の相談

 

幼稚園年少の息子のことです。今通っている幼稚園は、子どもはのびのびと遊びのなかで学んでいくというのがモットーで、知育教育とは無縁で親子で大好きなのですが、それに甘んじてか、ひらがな、数字を書くことはモチロン、読むことも未だにできません。絵本などで教えるのですが、覚えようとしないし頭に入っていかないようです。これでいいのでしょうか? かなり不安な今日この頃です。かといって私が教えるとすぐカッとなって勉強が楽しくないものと思い込みそうで……。まだ、その気になるまで放っておいたほうがいいのでしょうか?(かずぽんさん)

 

【親野先生のアドバイス】

かずぽんさん、拝読いたしました。

「子どもはのびのびと遊びのなかで学んでいく」というのは、そのとおりだと思います。子どもは遊びのなかでいろいろな体験をし、いろいろな知識を身に付けていきます。また、遊びのなかでいろいろと考えたり工夫したりすることで、頭が鍛えられます。未知のものにチャレンジする意欲や新しいものを作り出す創造力も身に付けていきます。

それに、小さいときからたっぷり遊んできた子は、元気があって活力に溢れています。

そういう子は、生活力や人間関係をうまくやっていく力も身に付いています。それらの全てが、後々になっても子どもの生活や勉強の役に立ちます。ですから、「子どもはのびのびと遊びのなかで学んでいく」をモットーにしている幼稚園なら、その幼稚園の良さをたっぷり生かしていくといいと思います。

ただ、ご質問のように、「知育教育とは無縁」という点が心配になる気持ちもわかります。たとえば、ひらがな一つとっても、全く何も書けない状態で1年生になるとかなり苦労するのは事実です。確かに、学習指導要領の建前では、ひらがなは1年生から勉強すればいいことになっています。でも、実際には、それでは無理なのです。

1年生では、ひらがなを全部覚え、カタカナを全部覚え、おまけに漢字を80個覚えなければなりません。おまけに、「ぴょっこり」とか「キャッチボール」などという難しい書き方も、覚えなければならないのです。ですから、ひらがなを一つも書けないとか自分の名前くらいしか書けない状態で入学してくると、後がとても大変です。

それに、実際には、ほとんどの子がかなり書ける状態で入学してきますので、書けない子は自信をなくしてしまうということもあります。その子がものすごく潜在能力が高い子ならいざ知らず、普通は追いつくのが大変です。


ですから、その幼稚園の良さを生かしつつ、家でできることをやっていくといいと思います。それについて、私がいつもすすめているのが楽勉です。

楽勉とは、生活や遊びのなかで楽しみながら自然に無理なく知的に鍛えることです。「楽しみながら」ですから、絶対に無理にやってはいけません。無理にやると、必ず弊害が出ます。

「ひらがな、数字を書くことはモチロン、読むことも未だにできません。絵本などで教えたりするのですが、覚えようとしないし頭に入っていかないようです。これでいいのでしょうか? かなり不安な今日この頃です。かといって私が教えるとすぐカッとなって勉強が楽しくないものと思い込みそうで……」

ひらがなや数字を書かせたり絵本で教えたりする前に、まずは楽しい遊びのなかでそれに親しませるといいと思います。ひらがなや数字を書いた、積み木や型抜きパズルやジグソーパズルなどがおすすめです。

塗り絵を楽しみながら覚えられるワークブックもあります。お風呂にはって、絵を見ながら覚えられる「おふろでレッスン ひらがなのひょう」も楽しいです。かるたで遊びながらひらがなが覚えられる、「あいうえおクイズかるた」というものもあります。

数に親しませるには、「百だまそろばん」が一番良いでしょう。これでたっぷり遊ばせておけば、後々になって算数で苦労しなくてすみます。遊びながら玉を動かしたり数えたりしているうちに、数に対する基本的な感覚が養われる優れものです。私は心からおすすめします。

また、図形パズルで遊んでおけば、算数の図形の勉強が楽しくなります。

今は、この他にも、いろいろと良いものが出ています。以前では考えられないくらい、楽勉の環境は充実しているのです。要は、楽勉という考えを知っているかどうか、そして実行するかどうかです。親がその気になれば、生活や遊びのなかで楽しみながら自然に無理なく知的に鍛えることができるのです。拙著『「楽勉力」で子どもは活きる!』も参考にしてください。

「まだ、その気になるまで放っておいたほうがいいのでしょうか?」
いいえ、放っておいてはいけません。放っておいたら、いつまでたっても、その気にならないと思います。親の側からの適切な働きかけが絶対に必要です。ぜひ、親が楽勉をプロデュースしてやってください。

ただし、親は楽勉だと思っても子どもが嫌がることはあります。その場合は、無理強いしないことです。無理強いしたら楽勉ではなく、苦勉になってしまいます。そうすると、それが嫌いになったり苦手意識をもってしまったりということになりかねません。そのことを忘れないでください。

楽勉によって、子どもは、学ぶ楽しさを味わいながらどんどん能力を高めていくことができます。小学校に入学してからも、勉強で苦労する必要が全くなくなるのです。それどころか、自信をもって楽々と、毎日楽しく勉強することができるのです。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。かずぽんさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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