「全国学力テスト」は何のため? 結果をどう受け止めればいい?
先日、文部科学省は「全国的な学力調査」(全国学力テスト)を来年4月24日に実施すると発表しました。小学校6年生と中学校3年生の国語と算数・数学について、原則として国公立学校に在籍する児童・生徒全員(私立は任意参加)を対象に行うものです。テストは何のために行われるのでしょうか。また、私たちはこのテスト結果をどう受け止めればいいのでしょうか。
「競争」のはずが……
全国学力テストを実施するきっかけとなったのは、中山成彬・前文部科学大臣が、就任したばかりのころの2004年10月に、記者会見で「テスト結果を公表して、子どもたちの競争意識を高めたらどうか」と発言したことでした。
現在、国レベルで実施しているものには「教育課程実施状況調査」というものがあります。実際にお子さまがテストを受けたかたもいらっしゃるかもしれません。ただし、これはあくまで学習指導要領の改訂のための資料にする目的で、一部の児童・生徒のみに行われているものです。結果についても、全体的な状況は公表されていますが、自治体別や学校別の結果は明らかにされていません(ただし、各学校が独自にこの調査問題を使って、自分の学校の学力状況を調べている例は少なくありません)。
中山前文科相の構想は、この「教育課程実施状況調査」を全員に課し、その結果を公表したらどうかというものでしたが、実は教育界にはこうした全国学力テストに対する苦い思い出があるのです。もう40〜50年前のことになりますが、小・中・高校生を対象に「全国学力調査」(1956〜1966年)が行われたことがあります。この時、都道府県別の平均点などが報道されてしまったため、各地で点数競争が過熱しました。テスト対策のための勉強が行われたのはもとより、なかには成績のふるわない子どもを欠席させたり、試験会場で答えを見せたりした学校さえあったといいます。そのため激しい「学力テスト(学テ)反対闘争」が起こり、社会的にも大きな混乱をもたらしました。
個別の結果は公表せず
今回の全国学力テストについても、論議の当初から「かつての学テのようにはしない」というのが、関係者の共通認識でした。実際に全国学力テストにゴーサインを出した2005年10月の中央教育審議会答申も、「学校間の序列化や過度な競争等につながらないよう十分な配慮が必要である」と注意を促しています。
これを受けてテストの具体的な実施方法を検討していた文部科学省の専門家検討会議は4月にまとめた最終報告で、市区町村や学校単位の状況がわかるような調査結果を返却するとしながらも、その結果を国としては公表しないとしています。さらに、都道府県に対しても、個別の状況を発表しないように求めています(ただし、市区町村や学校が独自の判断で公表することは容認しています)。
それでは、このテストは何のために行われるのでしょうか。
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