あなたは子どもをほめていますか【前編】

期間 2006/1/25〜1/29

いま、受験シーズン真っ最中。中学受験、高校受験、大学受験それぞれの結果が、その人の人生の歩みを変え、場合によっては進路の変更を余儀なくされることもときにあるかもしれません。
そんなとき、親としてどんな表情や、子どもにかける言葉をみなさんは持っているでしょうか。成功と失敗に極端に一喜一憂したり、場合によっては落胆の表情を子どもにストレートに見せてしまったりしていませんか。今回は、受験という大きな出来事だけでなく、日常の「ほめる・しかる」をテーマに教育発見隊の皆さまにアンケートを寄せていただきました。

子どもを「ほめる・しかる」割合は7:3

子どもをほめる・しかる「割合」は、一般に「7:3程度」がよいと言われます。
親として特に母親は、ついつい口うるさく子どもをしかりがちです。しかりつける、注意することを最小限に抑えるためにも、7:3程度の比率を心がけていてこそ、実はちょうどよいバランスになっていることを言うのでしょう。
今回寄せていただいた回答のなかに「今回のアンケートの設問を受けて子どもに聞くと、7:3の割合でしかられることが多いと言っています。母親として5:5のつもりだったのですが、反省の意味をこめて投稿します」との報告もありました。

現在公開中の「保護者の授業」で、講師を務めていただいた跡見学園女子大学文学部臨床心理学科の平木典子先生は、その著書のなかで「しかるべき部分の3割はなにかというと、絶対にやってはいけないこと、たとえば子どもの命にかかわること」なのだと言います。
そして、「ほめる」ことがいかに大切かを平木先生は力説されます。
「子どもに向上心があればあるほど、ほめることは子どもを成長させるための直接のきっかけになります。しかってばかりでは、子どものやる気を萎えさせてしまう」。(「いまの自分をほめてみよう」 平木典子著/大和出版)
子どもには、成長段階があります。就学前、小学校低学年、母子分離がはっきりしてくる高学年……などでは、「ほめる・しかる」の意味合いも、さじ加減も異なってくるはずです。

「ほめる・しかる」の日常バランス

今回は、「ほめる・しかる」の日常のバランス(割合)を聞いています。※【図1】参照
「しかってばかり」の方が11%、「しかることのほうがまあ多い」方が44%、合わせると55%の方はどうも日常生活のなかでしかる割合が高いようで、「どちらも同じくらい」(26%)をはるかに上回る数値でした。
「ほめることのほうが断然多い」「ほめることのほうがまあ多い」方は、合計しても18%。「しかる派」のお母さんがここでは優位といったところです。


本来、保護者としてしかりたくなるのは、「あなたならできるはずだ」とがんばりを期待しているからではないでしょうか。親として、子どもをしかるのは、そのあとの努力と成長を期待しているからこそ。「ほめることのほうが断然多い」、「ほめることのほうがまあ多い」といった方の声も聞いてみました。


  • たくさんほめて子どもを認めることが大切だと思う。しっかり認めてもらえていると子どもが感じていれば、しかったときに子どもは素直に受け入れることができるから。(入学前)
  • ほめると子どもの笑顔が見られるし、子どもの気持ちを考えるとほめたくなる。(入学前)
  • ほめることで伸びてくれると思うので。(小5)
  • しかるばかりでは、なかなか子どものやる気を引きだせないと思うので、なるべくほめるように心がけています。(入学前)

やはり、子どもをしかりっぱなしにしないで必ず見届けてほめたり、がんばりを親として上手に認めてあげることが重要なのかもしれません。
同時に、ほめるタイミングも逃がすと効果がないと言われます。なかにはほめても反応がなかったり、親としてほめにくいような年齢になっている、との回答もいただきました。確かに、年齢が小学校高学年ともなると、恥ずかしがる子もいます。だからといって、まったくほめないというのではなく、親としてのほめ方の技術が要求されるのでしょう。

日常は「しかる派」優勢?

教育発見隊の皆さまが、日ごろどの程度子どもをほめているかをデータから見てみましょう。※【図2】参照


データからは、日ごろを振り返って67%の方が「よくほめている」「まあほめている」と、自分と子どもとの関係性を見ています。では、どんなときにほめているのでしょうか。
教育発見隊の皆さまの回答ベスト4は、「家の手伝いをしてくれたとき」「約束事が守れたとき」「園や学校や習い事などで子どもが活躍したとき」「よい成績を取ったとき」です。※【図3】参照


一方、日ごろどの程度子どもをしかっているかを再びデータから見てみましょう。
※【図4】参照


約82%の方が「よくしかる」「しかることが多い」と回答し、「ほとんどしからない+あまりしからない」方は17%でした。そのなかで、ほとんどしからない方はわずか2%です。
では、ご家庭での「ほめる・しかる」の日常の様子はどうなのでしょう……。まず、どんなときにしかるのでしょう。集計全体では【図5】のとおりです。


「約束事を守らない」「早起きや規則正しい生活、帰宅時間など生活のルールが乱れだらしない」「整理整頓ができない」ことなどが、しかる背景にあるようです。また、「勉強をしない」「ゲームやマンガをだらだらとやっている」(計23%)ときもつい小言が出たり、しかりたくなる場面です。

日常ほめている割合は67%【図1】でしたが、ほめるよりしかる割合の多い日々……なぜ子どもをしかるのでしょうか?
子どもの態度が気に入らないから? それとも言動に腹が立つからでしょうか?
ほめることよりも、しかることが多いと感じている方に、なぜ多いのか……を聞いてみました。


  • しかりすぎてもよくないと思っているが、ほめることはあまり得意でないため。(入学前)
  • 長所より短所が目についてしまうから、意識しないとほめられません。(小4)
  • 子どもの悪い部分だけ気になることが多いから。(小3)
  • ほめてはいるつもりだが、ほめる言葉は意識しないと出てこないが、怒るのはつい気がつくと怒っている。(小5)
  • ちょっとした態度や、兄弟げんかなどでイライラしてしまい、ついしかりすぎてしまう。(小4)
  • ほめてやりたいとは思っているが、ほめ言葉がしらじらしく感じられ、口に出せないことが多い。小言はつい口をついて出てしまう。(中学生)

といった具合に、日常のなかで子どもに接する時間が多いお母さんが、部屋が散らかっていたり、規則正しい生活ができない、守るべき約束を守らないことの繰り返しに、少々イライラしている様子が浮かびます。また、上手にほめるお母さんぶり、お父さんぶりを発揮できていない方もいるようです。


  • 以前はほめることが多かったように思いますが、最近は夫の仕事の手伝いが忙しくなり、日々の雑用が増えたりして気持ちの余裕がなくなってきたため、今振り返るとほめることが減ったと思います。(中学生)

と、日常生活の多忙感を背景に、つい子どもたちに当たっている場合もあるようです。
たとえば、子どもに接するお母さんの心のなかに「しなければならない」といった枠組みのようなものや、「忙しさを理由にしてしまう」構えのようなものがあると、なかなか子どもをほめることはできないでしょう。
「ママは忙しいんだから」と自分を被害者の立場で「構え」ていては、素直な気持ちで子どもに接することはできないはずです。

子どもに一呼吸合間をとるしかり方

全国の小学校の取材過程で、こんな話を耳にします。
「以前はルールの守れない男の子をしっかりしかることで、クラスの規律が生まれた。いまは厳しくできない分、女の子もかなりひどいことをするケースが増えてきた」
また、ある京都の小学校1年生を受け持つ担任の先生がこんなことを言っていました。
「子どもが物を投げたり、蹴飛ばしたり、ルールを守れない時、『なんてひどいことをするの!』ととっさに思ってしまいます。しかし、そんなときは、感情をコントロールして子どものそばに近づき、膝立ちになり子どもよりも背を低くし、悪いことをした手や足をちょっと痛いくらいにパチンとたたきます。子どもが『わあー』と泣いたら、『この手が悪かったね。○○ちゃん(くん)は本当はいい子なのに!』と声をかけます。そうすると子どもは納得し、同じことは何度も繰り返さないものです」

ご家庭でのしかり方も同じことだと思います。
前出の先生はこうも言っていました。
「家庭でも大人が高圧的に上から怒鳴ったり、たたいていないよう、たたく前に子どもの前に座ることによって感情をコントロールすることで、しかり方に合間が入るのです」と。親として子どもをたたいてはいけない、大声を出してはいけないと我慢していると、あるとき感情が爆発してしまって、抑えがきかなくなってしまうことは、子育ての経験のある方は誰でも一度は経験しているでしょう。悪いことは悪いこととしてしっかり感情を込めてしかり、合間を十分とって感情をコントロールすることが大事なようです。
しかる前に子どもの背の高さよりも低い目線で立つことは、ときに大人が見落としていた原因を気づかせてくれることがあります。すべて学べない子どもが悪いのではなく、親としての言葉がこどもにうまく伝わっていないこともあるものです。子どもの目線をたくさん持つことこそ、大切な「ほめる・しかる」の原点なのかもしれません。

教育発見隊のメンバーのなかにもこう回答された方がいました。


  • 子どもが生まれたときに自分自身に約束したことを守るように気をつけています。その約束したこととは
      (1)他の子どもと比較しない
      (2)「ちゃんとしなさい」「早くしなさい」は口にしない
    ……の2点です。これらを守ることで、ささいなことでも「昨日できなかったことが今日できるようになっている」と気づくし、子どもに理解できるように話すことで、自分自身の余計なイライラがなくなってくると感じます。(小5)

今回は、回答の全体像をまとめてお伝えしました。
次回【後編】は、「ほめる・しかる」ときに、親として気をつけるべき観点を、平木典子先生のお考えを参考に、学齢差を踏まえ、さらにもう少し寄せられたご意見を交え、考えてみたいと思います。

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