理科離れ対策に科学者立ち上がる 小・中・高校を訪問

最近、子どもたちの理科離れが問題となっていますが、最前線の科学者たちが小・中・高校にボランティアで訪問し、総合的な学習の時間や放課後に科学の指導を行う教育支援ボランティアを組織しました。科学への興味を育むことが大きな目的です。

深刻化する理科離れを食い止める!

最近、子どもたちの理科離れが問題となっていますが、最前線で科学研究を行ってきた経験を活かして、子どもたちに科学への興味・関心を持たせたいという願いから、NPO法人「科学技術振興のための教育改革支援計画(SSISS)」(理事長:大木道則東大名誉教授)が設立されました。
主な活動は学校での理科教育支援です。ボランティア登録した科学者やOBが講師として小・中・高校に出向き、理科教育の指導や支援にあたります。

理科離れの子どもたちを何とか理科好きにしたいという試みはこれまでもありました。2002年から文部科学省は、「科学技術・理科大好きプラン」をスタートしました。そのほかにも、元文部大臣の有馬朗人参議院議員が自ら理科実験の授業を行ったり、ノーベル賞受賞者の小柴昌俊東大特別栄誉教授が小学生からの理科授業の大切さを説いたりしています。

その背景には、日本の子どもたちの理科離れがあります。国際教育到達度評価学会(IEA)が行った、中学生の数学と理科に関する国際学力比較調査(第3回 1995年)でも、日本の学力は数学、理科ともに3位でしたが、「数学や理科が好きか」という調査では「好き」という生徒の割合が先進国21カ国の中で最下位でした。また「理科は生活の中で大切と考える生徒の割合」も「科学を使う仕事をしたいと考えている生徒の割合」も最下位でした。

子どもたちに知的好奇心を与える機会を

科学技術の推進について興味深い調査結果があります。文部科学省の附属機関に科学技術政策研究所がありますが、そこで2003年に「国際級研究人材の養成・確保のための環境・方策」というアンケートを実施しました。その対象者は「国際的科学賞を受賞できる程度の力量を備えた研究者」で、40〜54歳の方々が全体の半数を占めます。

この調査は、世界的に活躍している第一線の研究者がどのような教育環境・研究環境で育ってきたのか、また研究者になるまでの成長過程で、どのようなことに影響・刺激を受けたのかなど、自らの経験や考えをできるだけ具体的に書いてもらい、研究者になる上で重要なことなどを見つけようとするものです。
アンケートは、子ども時代、大学学部時代、大学助手・講師、助教授・教授時代など、7つの年代に分けて、それぞれの時代に対する経験と提言について聞いています。子ども時代では、次のような回答が見られました。

そこでは、研究者たちの半数強が、子どもの時代に両親・親戚・教師といった周囲の大人たちから何らかの知的な刺激を受けたと回答しています。
例えば、「小学校低学年のころに父に連れられて、ある高名な海洋生物学の教授の臨海実習に参加する機会を与えてもらった。内容などは覚えていないが、一流の学者に身近に接し、幼い身にも知的興奮を呼び覚まされたことを覚えている。他にも、機会あるごとに科学や最新技術に接する機会を与えてくれたことに感謝している」といったものです。

このように、優れた科学者などに接する機会は子どもの心を刺激します。子どもは知的好奇心が湧き、さらに知りたいという欲求が高まるのです。
このNPO 法人による学校への出前講座は、多くの子どもたちに科学についての知的好奇心を育てるよい機会になることでしょう。その中から将来の科学者が育つことも決して夢ではありません。
自然や科学の不思議や動植物のしくみへの興味を、最先端の学者たちが導いていくこの支援活動には、大きな意味があるでしょう。

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