ゲーム課金トラブルへの対処法 ファイナンシャルプランナーがアドバイス

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「保護者が知らないあいだに、お子さまがゲームに課金していた」というトラブルを防ぐために、家庭ではどんなことに気を付けたらよいのでしょうか。
ご自身も息子さんの音楽のダウンロード購入でもめた経験があるというファイナンシャルプランナーよりアドバイスをお伝えします。

この記事のポイント

低年齢層のネット利用者は6割近くに増加

今では当たり前のように、お子さんたちもインターネットを利用していると思います。インターネットの利用率を「2020年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果概要(21年3月・内閣府))」から見てみますと、高校生で98.9%、中学生でも97.4%と、かなり高い割合を示しています。
オンライン授業も普及していますので、中高生で100%近い利用率は、納得できる数字だと思います。

そんな利用率の高さは、低年齢層にも広がっています。
インターネット利用率は、小学生でも90.5%、0歳から6歳までで、57.8%に達しています。インターネットを利用する機器の内訳は、スマートフォンが32.3%、タブレットが30.6%、インターネット接続テレビ21.4%、据え置き型ゲーム機が17.7%、携帯ゲーム機が14.6%になっています。

課金を防ぐために家庭で行うべき対策とは

コロナ禍で在宅時間が長くなり、お子さんをゲームから遠ざけるのも難しい現状がありますが、「やめなさい!」と、ただ叱るのではなく、「食後の19時から21時まではゲームをやってもよい時間」など、各家庭のルールを設けるほうが良いと思います。
とはいえ、親に隠れてゲームに熱中するのはよくあること。親が監視を強めれば、お子さんは監視の目を逃れる方法を模索し、イタチゴッコになっているご家庭も少なくないようです。

またゲーム以外でも、親が支払いをしている動画サイトを、お子さんも視聴しているご家庭は多いのではないでしょうか。
動画サイトの中には、月額の利用料以外に、新作は有料だったり、購入したポイントで支払わなければならなかったりするものもあります。新作を見たくなったお子さんが、シリーズをまとめて購入してしまい、月額利用料に上乗せ請求されるケースも少なくないでしょう。

オンラインゲーム・音楽配信・動画視聴と、さまざまな媒体で、お子さんが課金してしまう可能性が高まっています。
世の中には、ゲーム課金で数十万円にもおよぶ高額請求をされたケースもあるようです。「万が一、高額請求がきたら、どうしよう」と気になるご家庭では、お子さんが課金しづらい対策を講じる必要があるかもしれません。

ネット利用による課金トラブルも増加

お子さんの課金トラブルは、中学生や高校生に限らず、低年齢でも発生しています。
特に、小さいお子さんほど、課金の仕組みがわからないまま利用して、その金額の多さに親側が驚くケースもあります。よくあるのは、無料のトライアル期間に気軽に申し込んで、トライアル期間が終わっても、解約せずにそのまま利用しているケース。有料とは知らずにアイテムを購入したり、追加の機能を利用したりしてしまうお子さんもたくさんいます。

また親のクレジットカードを勝手に持ち出して、カード情報を打ち込んで有料のゲームを行い、請求額に親が驚くというケースも少なくないようです。
解約した端末が家に置いてあり、その端末にカード情報が保存されていたことから、そのまま課金されてしまったというケースもあります。とはいえ、お子さんを24時間監視するわけにもいきませんので、身に覚えのない請求が来たら、まずはお子さんに使途内容をきちんと確認しましょう。

息子と早く話し合うべきだった……ファイナンシャルプランナーの経験談

実は私自身も、息子の音楽のダウンロード購入でもめた経験があります。
経緯を少しご紹介しますと、我が家では家族全員の携帯電話を同じキャリアにしています。私名義で契約しており、全回線分をまとめて支払っています。利用明細は定期的に確認しているのですが、毎月のように息子の携帯電話代にダウンロード代(音楽の有料配信利用分など)の請求額が上乗せされています。
普段の請求金額は数千円でしたが、ある時、4万円を超える請求がきたことがあります。さすがに、このままにしておくのはまずいと思い、「次回以降、1万円以上の請求がきたら、自分で携帯電話代を払ってもらう」と約束させました。

息子もその提案を受け入れましたが、約束してからすぐにコロナ禍に。飲食店の深夜アルバイトをしていた息子は、深夜帯のアルバイトがなくなり、自分で携帯電話代を支払うのは難しくなりました。息子は現在大学4年生なので、就職したらすぐに、自分名義で契約してもらうことに、「約束の中身」を変えました。いずれにしてももっと早く、息子と話し合うべきだったと反省しているところです。

ゲーム課金トラブルを防ぐために、親が気を付けるべきは

お子さんのゲーム課金や音楽の有料配信、動画サイトの有料支払いなどで、予定外の支出をしたかたは、お子さんが使えるデバイスの中で、親の口座と連動しているものを洗い出してみましょう。そのうえで、お子さんが使っているスマートフォンのクレジットカード情報を削除してはいかがでしょうか。

合わせて、お子さんが親のパスワードを知っているものがあれば、すみやかにパスワードを変えるなど、お子さんが自由に使えない環境作りに着手したいところです。あるいは費用が発生する場合は、毎回、パスワードの入力を求められる設定に変更するなど、親側も防御する必要があると思います。

まったく使えなくすると、かえって隠れて使うようになる心配があるなら、親が許容できる金額を伝えたり、「少しお小遣いを上乗せするから、ゲーム課金の分はお小遣いから差し引く」約束をするのも一法です。

また万が一、未成年の子ども宛に高額な請求が来た場合、「親の同意なし」に契約したものだと証明できれば、請求を取り消せる可能性があることも知っておきたいところです。

ただし、年齢を偽ってゲームに参加しているなど、虚偽の状態で利用した場合は取り消せない可能性が高くなります。カード会社は不正な取引でない限り、引き落としを止めてくれるわけではありませんので、返金についてはゲーム会社との交渉になります。そして、すべてのケースで取り消しができるわけではありません。

「返金してもらうのは、無理そう」だと思っても、今後、同じようなことをお子さんが繰り返さないようにするために、ゲーム会社と交渉する方法もあります。ゲーム会社とのやりとりをお子さんに見せて、「あなたは気軽な気持ちで利用したかもしれないけれど、お金を返してもらおうとすると、こんなに大変なことになるんだよ」と、交渉の現場をお子さんに見せるのも効果的ではないでしょうか。

親がたしなめてもゲーム課金が続き、どんなに叱ってもやめようとしない場合は、ゲーム依存症のような状態に陥っているかもしれません。症状が重くなると、一日のほとんどを部屋にこもってゲームに没頭する、中毒状態になってしまうお子さんもいます。「ゲームに熱中している時間が長すぎる」と感じたら、カウンセリングを受けるなどの対策も、検討したほうがよいかもしれません。

まとめ & 実践 TIPS

お子さんの楽しみであるゲームや動画視聴などを、リスクなく楽しめるようにするには、親が課したルールを守れるように、繰り返し働きかけることが重要だと思います。

畠中雅子

畠中雅子

大学時代よりフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。新聞・雑誌などに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。著書は、「ラクに楽しくお金を貯めている私の『貯金簿』」(ぱる出版)ほか、70冊を超える。

プロフィール



メンバー全員が子育て経験を持つ女性FPのグループ。各自の子育て経験や得意分野を活かして、消費者向けのセミナーや相談業務、執筆、監修などを手掛けている。教育資金に関する情報発信の機会も豊富。

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