習い事や塾、学童保育の帰り道が暗い…子どもが夜道を歩く時に注意すべきこと

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学童帰りや、習い事・塾帰りなど、暗い道を子どもが帰宅するのは心配が尽きないものです。人通りも少なく、死角も増える暗い道での防犯対策は、何にどう気をつけていけばよいのでしょうか。安全インストラクターの武田信彦さんに伺いました。

この記事のポイント

子どもの犯罪被害は15時から18時台に最も集中している

警察白書(令和元年版)によると、道路上における身体犯の認知件数は最近5年間で減少しているものの、13歳未満の子どもが被害者となったケースに限ると、ほぼ横ばいで推移しています。

子どもが被害に遭った時間帯に関しては、15時から18時の時間帯に集中しており、下校時間と一致していることがわかります。

一般的なイメージでは、周囲が暗くなる遅い時間帯になればなるほど子どもへの犯罪も増えるような印象もあるかもしれませんが、そのほかの時間帯でも被害は発生しており、明るい時間帯でも暗い時間帯でも同じように危険性は存在しているということが言えるでしょう。

リスクの高まりを左右しているのは、周囲が明るいか暗いかではなく、「子どもだけの状態であるか」ということであるとしっかり認識いただければと思います。

また、「警視庁子ども・女性の安全対策に関する有識者研究会提言書」(2017年9月)によると、子どもに対する犯罪の発生場所は、道路等が30%、公園等が12%、住宅が37%、施設等が14%、その他7%となっています。必ずしも、暗い道だけが危険なわけではありません。マンション等の共用スペースも含め、「ここは大丈夫」といった「聖域」を設けずに、あらゆる場所で犯罪リスクの可能性があることを肝に銘じておきましょう。

前回の記事でもお伝えした通り、防犯対策に「明るいところなら大丈夫」「家の近くなら大丈夫」といったいわゆる「聖域」は存在しません。

子どもの防犯力UPだけで身を守ろうとするのは危険!

防犯対策で何よりも重要なことは、「子どもだけの状態を作らないこと」というのは、通学路の安全対策の記事(※リンク貼付)でもお伝えした通りです。夜になると、お店が閉まり、人通りも減ること、また人通りがあっても暗く目が届きにくい状態が多くなります。これは、間接的に子どもを見守る目が減少し、子どもだけの状態が増えるということです。

そのため、基本的には身近な大人が付き添うことが最も安全な方法。途中からでもいいから付き添えないか、一緒に帰ってくるお子さんの家庭と交代で付き添えないかなど、まずはしっかり大人の関わり方を考えるようにしてください。

もちろん、保護者の仕事等の都合で付き添えないときもあるでしょう。ただ、子どもの防犯対策を考える上で、最初から「子どもだけで身を守るためには」という前提に立ってしまっては、リスクを高めてしまう一面があることも肝に銘じておいていただきたいです。

子どもだけで暗い道を帰宅する際に注意したいこと

どうしても子どもだけで暗い道を帰宅しなければならない場合は、子どもに「観察力を発揮すること」「犯意に体をコントロールされなこと」「犯意に心をコントロールされないこと」の3点に注意させるようにしましょう。

具体的には、次のような点を伝えるとよいでしょう。

・観察力を発揮して、予防力アップ&抵抗力を示す

 なるべく人通りの多い道を選ぶ、寄り道せずにさっさと歩く、物影から離れる、周囲を見回す、防犯ブザーを手に持つなど、警戒心を備えていることが伝わる行動を取りましょう。悪意や犯意のある人は、コントロールできそうな「隙」をついてくるものです。そのため、しっかり警戒のアンテナを立てていることで、「逃げる」「助けを呼ぶ」などの抵抗力を示すこととなり、犯罪などの行為を諦めさせる効果が期待できます。寄り道をしたり、スマホをいじりながら歩いたりすることは、危険が近づきやすい雰囲気を生み出してしまいます。

・人と会ったら触られない距離を取り、怖いと感じたらすぐに逃げる

 子どもを狙う犯罪の中には、いきなり体を引っ張ったり、車に連れ込もうとしたりするケースもあります。大人の力にはかなわないので、予防することが重要です。人とは十分に距離を取ることを言い聞かせましょう。また、「怖いと感じたら、迷わず逃げてよい」と伝えておくことも重要です。そして、行動する時間帯に開いている公共施設や店、交番、消防署、子ども110番の家など、予め逃げ込める先も確認しておくようにしましょう。

・話しかけられたり、頼まれごとをされたりしても、毅然と断る

 子どもを狙う犯罪の中には、嘘をついて言葉巧みに近寄ってくるケースもあります。悪意や犯意を見抜くことは、大人でも困難な場合が多いものです。しかし、そもそも暗い道で子どもに話しかけたり、頼みごとをすること自体が違和感をおぼえる行為です。そのような場合は「できません!」と毅然と断ることを伝えましょう。

また、暗い道を子どもが歩く際は、防犯のみならず、交通安全にも配慮することが求められます。リフレクターや反射キーホルダーを持たせると車などからの視認性が高まるため良いでしょう。その際、リフレクターをつけた側が外側にくるように持つことをお子さまに伝えるのを忘れないようにしましょう。

繰り返しになりますが、基本的には暗い道で「子どもだけ」になることは避けるべきことです。致し方ない事情があるときもあるかと思いますが、大人が途中まで迎えにいく、玄関先で迎えるという行動をするだけでも、子どもを狙う犯罪を遠ざけることになります。身近な大人の付き添いや存在は、子どもたちを守る大きな力なのです。

まとめ & 実践 TIPS

暗い道は、人通りも少なく、目も届きにくいため、基本的には大人が付き添うことが基本です。子どもの防犯力を高めるだけではリスク回避しきることが難しい面もあります。可能なかぎり大人の関わりを意識した上で、子どもの観察力を高め、危険回避と危険から逃げる方法を伝えるようにしましょう。

出典
警察白書(令和元年版)
https://www.npa.go.jp/hakusyo/r01/honbun/index.html

警視庁子ども・女性の安全対策に関する有識者研究会提言書(2017年9月)
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/anzen/anshin/kodomo_josei_anzen.html

プロフィール


武田信彦

うさぎママのパトロール教室主宰
安全インストラクター
国際的な犯罪防止NPOを経て「市民防犯」を提唱する講師として活動中。全国の自治体、警察、教育現場などから多数の講師依頼を受けている。また、中央省庁においても助言を務めるなど市民防犯のパイオニアとして活躍中。著書に「活かそうコミュ力!中高生からの防犯」(ぺりかん社)、「SELFE DEFENCE 『逃げるが勝ち』が身を守る」(講談社)など。

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