子どもにスマホを安全に使わせるには

進級や進学に合わせて、スマートフォン(スマホ)を初めて持つお子さんが多くなる時期です。楽しんでほしいと思う半面、どう子どもがネットとつながっていくのか、夢中になりすぎはしないかなど、不安は尽きません。安全・安心に利用するために、家庭でできることは何でしょうか。

アプリの年齢制限チェックから

今の保護者が小中学生のころは、家庭用ゲーム機が身近な遊びの道具としてあり、親子で時間やルールを決めた思い出があるかたもいるでしょう。しかし今では、ゲーム機がネット接続できたり、スマホのゲームに代わったりしています。家庭内でルールを決めて守るだけでは、安全な利用はできない可能性があります。

内閣府は、低年齢層の子どもを持つ保護者に向けたリーフレットを1月に公表しました。子どもがスマホを使うようになったら、どんな準備をすればいいのかを、Q&A形式で解説しています。

まず、ゲームアプリを選ぶ時には、保護者がゲームの内容や使用時間を判断し、コントロールすることが大切だとしています。アプリに表示されている、遊ばせてよい年齢基準(レーティング)を活用して判断することを勧めています。

また、アプリの内容だけでなく、スマホに触れている利用環境を整えることも必要だとしています。アップル やグーグルなどスマホのOSを提供している会社は、子どものスマホ利用を保護者が把握できる「ペアレンタルコントロール」機能を提供しています。ウェブサイトを閲覧する際に、暴力表現やアダルト情報など、子どもが見るには適さない情報へのアクセスを防ぐ「フィルタリング」設定もあります。Q&Aでは、こうした機能を活用して、利用時間や課金等の管理をしてほしいと呼び掛けています。

環境を整えてから渡そう

ペアレンタルコントロールやフィルタリングは本来、子どもにスマホを渡す前の購入時に設定しておくのが理想です。政府が2月から5月にかけて行うネット利用のキャンペーン「春のあんしんネット・新学期一斉行動」では、2020年の目標を「フィルタリングの普及促進」に定めています。▽高校生向けのフィルタリングの広報▽フィルタリング、ペアレンタルコントロールの一括普及促進▽低年齢層の子どもの保護者に向けた普及啓発……などに集中的に取り組むとしています。

キャンペーンのサイトには、各携帯電話会社のフィルタリング設定方法がまとめて掲載されています。もし購入時に設定しそびれても、保護者が設定できるようリンクが張られています。自宅利用で安全性を高めるなら、ネット接続のプロバイダが提供するフィルタリングサービスを活用するのも一つの方法でしょう。

未成年の子どもがスマホを安全に使えるようにするのは、保護者の責任です。機器や接続上のセキュリティを確保したうえで、利用のルールを家族で守ることができれば、子どもだけでなく家族全員が安心してスマホを利用できるのではないでしょうか。

(筆者:長尾康子)

※内閣府「スマホ時代の子育て~悩める保護者のためのQ&A~(幼児・児童編)」
https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_use/leaflet.html

※内閣府 令和2年「春のあんしんネット・新学期一斉行動」
https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_use/2020/index.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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