男性の育休促進に「パタハラ」解消を

社会全体で働き方改革が問われる中、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)は、誰もが考えなくてはならない関心事となっています。しかし、男性の育児休業取得率はわずかで、政府目標達成には遠い現状がうかがわれます。育休を取得しようとする男性への嫌がらせを意味する「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)」が、仕事と育児の両立という理想と現実のギャップを生んでいるようです。

取得率7.2%、半数は1週間以下

日本労働組合総連合会(連合)は、「男性の家事・育児参加に関する実態調査」の結果を、このほど公表しました。調査は今年9月にインターネットで実施し、同居している子どもがいる全国の25歳~49歳の有職男性1,000人(パート・アルバイトを除く)から有効な回答を得ました。

その結果、男性の育児休業取得率は7.2%でした。しかし、それ以外の男性が、育児のためにまったく休暇を取っていないかというと、そうではありません。取った休暇は「年次有給休暇」(35.6%)が最も多く、次いで、出産の立ち会いや入院中の付き添いのために通常の有給休暇とは別に2日間(公務員の場合。民間は企業によって異なる)取得できる「配偶者出産休暇」(24.6%)、「振替休日・代替休暇」(11.7%)、「子の看護休暇」(10.0%)となっていて、約半数の男性は何らかの形で育児のための休業・休暇を取得していることがわかります。

ただし、育児休業を取得した人であっても、取得日数は「1週間以下」が半数を占め、「15日~30日」(9.7%)や「121日以上」(8.3%)という人は少数派でした。

政府目標にも遠く

育児休業取得率の政府目標は、2020年までに13%です。取得率アップを目指したキャンペーン「イクメンプロジェクト」を2010年から続けていますが、17年度の実績は5.14%。今回の連合の調査結果を見ても、目標達成はかなり厳しい状況と言わざるを得ません。その背景にはパタハラの存在が、調査結果から浮かび上がってきます。

実際に育児休業を取得した72人に「育児休業を取得して困ったこと」を尋ねたところ、「復帰したら嫌味を言われた」(15.3%)、「責任ある仕事を任されなくなった」(8.3%)、「昇進・昇給できなかった」(6.9%)、「低い人事評価を受けた」(4.2%)、「復帰したら新人のような扱いをされた」「異動を命じられた」「転勤を命じられた」(各2.8%)となっており、これらのいずれかを受けた割合を見ると、育児休業を取った男性の2割がパタハラに該当する行為を受けていることになります。

男性の育児休業取得率を上げるためには、どのような対策が必要だと思うかを全回答者に聞いたところ、「対象者に取得を義務づける」(57.5%)が最多で、次いで「男性しか取得できない日数を作る」(29.2%)、「育児休業給付金の増額」(25.4%)などの順になりました。

職場の無理解は、育児休業を取りたくても取れないどころか、取得することを諦めさせることにつながりかねません。小泉進次郎環境相の育休宣言が話題となっていますが、男性が育児休業を取得しやすい雰囲気を広めるためにも、パタハラ払しょくの先頭に立ってほしいものです。

(筆者:長尾康子)

※連合 世論調査「男性の家事・育児参加に関する実態調査2019」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/

※厚労省 イクメンプロジェクト
https://ikumen-project.mhlw.go.jp/  

プロフィール

長尾康子

長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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