プロローグ:子は親の履歴書

子は親の履歴書——。若くして才能を発揮したスポーツ選手や芸術家などを人々“天才”と呼ぶ。ではなぜ10代から彼らは世界で活躍できるようになったのか、その理由を知りたくて20年以上前から、彼らの親にインタビューを始めた。子育てに鍵があると睨んだからである。古くはイチロー、松坂大輔から最近の大谷翔平、萩野公介、桐生祥秀、白井健三などその数100人近く。

また、20~30代前半で一部上場を果たした若手企業家たちの両親にも話を聞いた。
すると彼らは育った地域、親の職業、家族構成はさまざまなのに、アスリート、芸術家、企業家など職業を問わず、親の教育のしかたが皆似通っていることがわかった。裏を返せば、彼らに共通した子育てをすれば、天才といわないまでも、どんな苦難も乗り越えられる賢い子に育つ可能性は高い。

今回は、2020年東京オリンピック・パラリンピックでメダルが期待される若手アスリートの育てられ方を中心に12回に分けてご紹介。それぞれの親の具体的な子育ての例を挙げ、最終回は各ご家庭の共通項をまとめてお届けする。

プロフィール


吉井妙子

スポーツジャーナリスト。宮城県出身。朝日新聞社に勤務した後、1991年に独立。同年ミズノスポーツライター賞受賞。アスリート中心に取材活動を展開し2003年「天才は親が作る」、2016年「天才を作る親たちのルール」など著書多数。