中学校入学時の偏差値と比べて「お得な学校」とは? 国公立大学への合格実績を伸ばした中高一貫校【首都圏版】

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志望校を決める際、学校自体の偏差値と大学合格実績も大事ですが、入学後にどれだけ学力を伸ばすことができるかということも、重要な視点です。そこで今回は、2021年度入試において国公立大学で合格実績を出している学校の中で、どの学校が学力を伸ばしたかについて、森上教育研究所がお伝えします。

2021年度入試で学力を伸ばした学校とは?

一つ上の偏差値ランクごとの合格者割合の平均と比較

以下に示している表は、2021年度入試における各学校の国公立大学への合格者数と卒業者数に占める国公立大学の合格者数の割合を示したものです。各項目の見方は以下の通りです。

(1)14SS、15SS、21SS(2014、2015、2021各年度入試の四谷大塚の予想偏差値。2021年度の大学合格実績は14SSの時の入学生が浪人生、15SSの時の入学生が現役生にあたる)
(2)14R、15R、21R(2014、2015、2021各年度入試の四谷大塚の予想偏差値を5ずつ区切ってグルーピングしたもの。Aランクは偏差値65以上、Bランクは偏差値60〜64、Cランクは偏差値55〜59、Dランクは偏差値50〜54、Eランクは偏差値45〜49)
(3)21、20卒業者(2021年度、2020年度の卒業者数)
(4)21現国公計(2021年度の国公立大の現役での合格者数)
(5)21対卒業割合国公・現(2021年度の卒業者数に占める国公立大の現役での合格者数の割合)
(6)21、20現浪国公計(2021年度、2020年度の国公立大の現役と浪人の合格者数)
(7)21、20対卒業割合国公・現浪(2021年度、2020年度の卒業者数に占める各年度の国公立大の現役と浪人の合格者数の割合)

具体例を挙げて説明すると、以下の表のBランクの一番上、海城は、2020年度の卒業者数323人のうち現役・浪人合わせて207人(64.1%)が国公立大に合格したということです。

また、ランクごとの卒業者数に占める合格者数の割合の平均に着目すると、Aランクの平均は52.9%ですから、海城の64.1%は一つ上のAランクの平均を上回っておりAランクに匹敵する合格実績を出しているため、入学時よりも学力を伸ばしていると言えます。

今回は、2021年度入試における国公立大の現役と浪人の合格者数の割合が一つ上のランクごとの平均よりも高い学校を中心にピックアップしてご紹介します。入り口は入りやすく、出口でしっかり学力を伸ばしてくれる学校の例として参考にしてください。

難関校では洗足学園、Bランクでは浅野が偏差値以上の高い合格実績

偏差値65以上のAランクの学校はいわゆる難関校ですから、いずれも順当に高い合格実績を上げています。
この中で一つ注目したいのは、女子校の洗足学園です。国公立大の現役と浪人の合格者数の割合が2020年度の29.0%から2021年度は44.2%へと大きく伸びています。この合格者数の割合は、偏差値が5ポイント上の女子のトップ校である女子学院も上回っています。今後も注目していきたい学校です。

次に偏差値60〜64のBランクの学校で、Aランク以上の合格者数の割合を出しているのは、男子校の海城、武蔵、浅野、サレジオ学院です。
いずれもAランクの平均52.9%以上となっています。とくに浅野は、東京大学の実績が1ランク上の栄光学園を上回るなど、国公立大学への合格実績を着実に伸ばしており、入学時よりも学力をしっかり伸ばしている学校と言えます。

Bランクの女子校では、Aランク全体の平均には届かないもののAランクの女子平均45.6%に近い合格実績を出しているのが鴎友学園女子、吉祥女子です。やはり女子御三家の次にランクする学校として手堅く学力を伸ばしていると言えるでしょう。

C〜Eランクでは逗子開成、桐朋、栄東、公文国際学園、帝京大学、頴明館、光塩女子学院に要注目

偏差値55〜59のCランクで、Bランクの合格者数割合の平均34.9%を上回っているのは、男子校では逗子開成、桐朋、芝、本郷、攻玉社です。
とくに逗子開成は47.5%、桐朋は44.9%とBランクの平均を大きく上回っており、かなり学力を伸ばしています。また共学では栄東も44.6%と高い合格実績を上げています。栄東は都心の立地ではありませんが、基礎をしっかりと身に付ける学校として存在感を増しています。

Cランクの女子校では、Bランクの女子平均25.0%に近い実績を出しているのが、神奈川御三家の横浜共立学園と横浜雙葉です。
いずれも2014年度当時の偏差値よりも下がって現在はやや入りやすくなっていますが、これだけの実績を上げられる指導力のある学校と言えます。

偏差値50〜54のDランクの学校では、共学の公文国際学園、帝京大学がCランクの合格者数割合平均24.9%を大きく上回る合格実績を上げています。
他にも大宮開成、東京都市大学等々力、男子校の鎌倉学園、高輪がCランク平均以上の合格者数割合を出しています。
女子校では、鎌倉女学院がCランクの女子平均12.6%を上回る合格実績となっています。

偏差値45〜49のEランクの学校で、Dランクの合格者数割合14.2%を上回っているのは、共学では頴明館、淑徳、桐光学園、麗澤、國學院久我山です。
とくに頴明館は27.6%と2ランク上のCランクの合格実績も上回るほど学力を伸ばしています。
女子校では、唯一光塩女子学院がDランクの全体の合格者数割合を上回る高い実績を上げている他、富士見、普連土学園がDランクの女子平均8.7%を上回る実績となっています。

ランク外の2校がCランクの平均にせまる合格実績を出しているのは素晴らしいことです。Cランク共学校の平均が25%のところ、宝仙25%、淑徳23%と大変健闘しています。

まとめ & 実践 TIPS

中学受験は、当然ながら合格がゴールではありません。中学校入学後に、お子さまのよいところを伸ばしてくれる学校かどうかということは、学校選びの重要なポイントだと言えます。
どの中学校を受験するか、複数の学校で迷ったときは、在学中にお子さまの学力をどれくらい伸ばしてくれるか、という可能性に注目して検討してみるのもよいでしょう。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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