「入試に出る本」教えます(3)来年は外山滋比古さんの『思考の整理学』などがよく出る?!【中学受験】

入試問題は毎年新しく作られるものです。今年度話題になったり、書店のブックフェアや図書館の特集コーナーなどで注目されたりした作家や作品は、出題者の目にとまりやすく、来年度の入試問題にもよく使われるものです。

国語入試問題に愛された外山滋比古さんの文章

外山滋比古さんが2020年7月30日に亡くなられました。96歳でした。書店や図書館で特集のコーナーが作られ、数多くの作品が並んでいるのを眺めて、あらためてその著作活動の充実ぶりを感じました。
外山滋比古さんの文章は、半世紀以上にわたって中学校・高校・大学の入試問題に幅広く使われてきました。言語・教育・思想など国語の問題に適したテーマで書かれた数多くのエッセーは、教養豊かな良質の文章で書かれていて、良い問題が作りやすいのです。

中学入試でいえば、2回ほど大きな「外山滋比古出題ブーム」がありました。
一つは、20年ほど前、出版界に「日本語ブーム」が起きた時期です。大野晋『日本語練習帳』、齋藤孝『声に出して読みたい日本語』などがベストセラーになり、外山滋比古さんの日本語に関する本も注目を集めました。この時期に、中学入試での出題が目立ちました。
〇1998年から2002年までに外山滋比古さんの文章を出題した学校の例
出題校=巣鴨・清風・吉祥女子・聖光学院・明大明治・成蹊・栄東・追手門学院大手前・国学院久我山・世田谷学園・湘南白百合学園・大妻・富士見丘・甲陽学院・玉川学園・攻玉社・神奈川大附属・那須高原海城・富士見など

次は、『思考の整理学』ブームが起きた10年前。「東大・京大で一番読まれた本」として紹介され、再注目されました。知性を磨くための方法を明快に伝える良書で、現在累計253万部を超える驚異のロングセラーです。2010年以降で『思考の整理学』を出題した学校は次の通り。
〇『思考の整理学』(ちくま文庫)の出題校(最近10年間)
出題校=栄東・青山学院・茗渓学園・埼玉平成(10)、藤嶺学園藤沢(11)、大宮開成・自修館中等教育・千葉日大一(12)、浅野・藤嶺学園藤沢・聖園女学院(13)、光塩女子(17)、鎌倉学園・逗子開成2回(19)、星野学園・総合(20)

いずれも、作品が話題となり書店などに目立っておかれていた時期に、その出題が急に増加していました。

来年の「入試に出る本」は?

では、来年の「入試に出る本」教えましょう。
10年ごとに出題ブームとなる外山滋比古さんの本は、亡くなられた今年の夏に再度注目されました。来年度にも出題されるでしょう。「良い国語問題が作れる」ことが保証されている「よく出る本」を3冊あげておきます。
〇『思考の整理学』(ちくま文庫)…出題ナンバー1の本。
〇『ことわざの論理』(ちくま学芸文庫)…出題ナンバー2の本。
〇『日本語の個性』(中公新書)…出題ナンバー3の本。
著作がかなり多いので、ほかにも使われる本があるとは思いますが、言葉を使って思考することを教えてくれる外山滋比古さんの文章は、今後とも入試問題に最適な素材であると思われます。

まとめ & 実践 TIPS

最近の入試問題の傾向は、「思考力」が一つの重要なテーマになっています。試験対策だけではなく、考える力を養い、日本語の知識を蓄えることができる外山滋比古さんの本は、ぜひ愛読してほしいと思います。

プロフィール

佐藤友樹

森上教育研究所にて、長く国語入試問題の分析を担当。現在に至るまで、数多くの学習塾・予備校の国語テキスト、模擬試験を作成。30年以上続けている中学入試の国語分析は、もはや趣味として楽しむ領域。小学生向けの国語の問題・参考書の執筆多数。

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