「入試に出る本」教えます(2)2021年度は直木賞作家 馳星周さんの「少年と犬」が出る?!【中学受験】

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 中学入試に使われる作家や作品は、それぞれの学校が公式に表に出す問題です。したがって、学校の品格を損なわないような、評価の高い作家や作品であることが求められます。

中学入試でよく出る作家は、直木賞作家

入試問題では、あまり平易な文章で書かれたものは使われません。小学生向けの児童文学作品ではなく、中高生以上向け(ヤングアダルト)の作品がほとんどです。特によく出ているのは、直木賞を受賞した作家の書いた小説です。伊集院静・向田邦子・井上ひさし・江國香織・石田衣良・ねじめ正一・三浦しをん・山田詠美・辻村深月・朝井リョウ等、その例は枚挙にいとまがありません。最近の中学入試で最もよく出る作家の一位・二位もやはり直木賞作家の二人です。

〇よく出る作家(文学的文章)と最もよく出題された作品・出題校例〇( )の数字は出題年度です。
第一位・重松 清(2000年度受賞・最近15年間で100校以上が出題している超人気作家)。
・『小学五年生』(文藝春秋2007年3月刊)
出題校…武南(19)世田谷学園(14)東京農大一高中(13)佼成学園・春日部共栄(12)中大附属・吉祥女子(2回)(11)頌栄女子学院(10)慶応普通部(09)城北・聖光学院・神奈川大附属・成城学園・桐蔭学園・恵泉女学園・東京家政学院・山脇学園(08)など。
第二位・森 絵都(2006年度受賞・最近15年間で50校以上が出題している人気作家)
・『クラスメイツ』(偕成社 2014年5月刊) 
出題校…青山学院横浜英和A・桐光学園2回・星野学園(理数選抜)(19)大宮開成(特待生)(18)横浜共立学園・玉川聖学院・関東学院六浦(16)学習院中等科・学習院女子・日本女子大附属・高輪・田園調布学園・帝京大中(15)など。

中学入試なので、「少年少女が主人公になった文学作品」であることが条件にはなりますが、人気と実力を兼ね備えた直木賞作家がよく選ばれるのは、学校の公式の問題としての品格を考えても自然なことと思います。

来年の「入試に出る本」は?

では、来年の「入試に出る本」教えましょう。今年度、直木賞を受賞した、馳星周さんの次の本です。

〇馳星周「少年と犬」(文藝春秋 2020年5月刊)
内容は、犬と人間の関係を描く作品集。表題作は、震災後、周囲の人と心を閉ざし言葉を失った少年と迷い犬との物語。犬が少年の心を開き、言葉を取り戻す感動的な作品です。直木賞を受賞した評価の高い作品であり、少年が主人公の表題作は、まさしく中学入試問題向きです。読んで、どんな問題がでるか考えてみるものいいでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

入試に「よく出る作品」は、子ども向けの作品ではなく、大人をも対象にした文学作品です。上記の、重松清さんや森絵都さんの作品は、中学入試レベルの文章として多くの学校の先生が選んでいるものです。この二人の文章とそれをもとにした入試問題は、入試の準備学習の中に積極的に取り入れるようにしましょう。

プロフィール



森上教育研究所にて、長く国語入試問題の分析を担当。現在に至るまで、数多くの学習塾・予備校の国語テキスト、模擬試験を作成。30年以上続けている中学入試の国語分析は、もはや趣味として楽しむ領域。小学生向けの国語の問題・参考書の執筆多数。

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