外国人生徒の高校進学率60%台にとどまる 進学支援で「多文化共生」へ!

9月も半ばに入り、中学3年生は、そろそろ志望校を絞る準備が本格化する時期です。新型コロナウイルス感染症の影響で、情報収集も、例年より大変かもしれません。しかし、高校進学に、もっと困難を抱えている生徒がいます。外国につながりやルーツを持つ「外国人児童生徒」(日本国籍を持っている場合も含む)です。外国人児童生徒への支援を強めることは、グローバル化する時代にあって、日本社会にとっても「多文化共生」を果たす試金石になるかもしれません。

この記事のポイント

高校進学率は60%台にとどまる

外国人児童生徒をめぐっては、そもそも義務教育(小中学校段階)の就学が、必ずしも把握し切れていません。2019年度に、就学していない可能性があるか、確認できていない状況にある子どもが約2万人いることが、文部科学省の調べで、初めてわかりました。同省は、有識者会議が2020年3月にまとめた報告書を基に、就学状況の積極的な把握と就学促進を、各自治体に求めています。
その上で、さらに取り組みが求められるのが、高校や、それ以降の進学に対する支援です。日本学術会議の分科会が2020年8月にまとめた提言では、外国人生徒の高校進学率が、60%台にとどまっていると推計。全国の高校入試で、特別枠や特別措置を広げるよう要望しています。

「授業に使う日本語」も必要

外国人生徒の高校進学率が低い理由として、学術会議は、(1)日本語で日常会話が十分できないか、日常会話ができても、授業に使う日本語の力が不足し、勉強についていけない (2)高校の授業料が実質無償になっても、他にも教材費や交通費など、さまざまな経費が掛かり、経済的に困難な家庭の生徒が進学を断念しかねない (3)日本の学校や高校入試の仕組みに関して、知識や情報が得にくい……などを想定しています。
日本語指導が必要な児童生徒は、特定の自治体に多くの子どもが集中する「集住化」と、幅広い自治体に少数の子どもが分散する「散在化」が同時に進んでいます。母語とする言語も多様化しています。全国どこでも、対応を手厚くすることが急がれます。

国内のグローバル化にもつながる

改正入管難民法が2019年4月から施行され、今後ますます外国人の受け入れが拡大していくことが予想されます。「多文化共生」は、待ったなしの課題です。
異文化の人たちを受け入れることは、国外の多様な人たちと付き合う際にも、役立つことでしょう。外国人児童生徒への支援は、国内の教育をグローバル化することにもつながるのです。
勉強の一番の方法は、人に教えることだとも言われます。同じクラスの外国人児童生徒に勉強を教えることは、その子のためだけではなく、自分自身のためにもなるのです。

まとめ & 実践 TIPS

文科省は、中央教育審議会で、新しい時代の初等中等教育(小中高校などの教育)の在り方を審議しており、外国人児童生徒の教育も、課題の一つに挙がっています。そうした動向にも注目しながら、同じ日本の学校に通う仲間して、ともに学び合い、将来の日本や国際社会を担っていけるような、学校教育の在り方を考えていきたいものです。


出典:
文部科学省 外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議 「外国人児童生徒等の教育の充実について」(報告)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/151/mext_00255.html

日本学術会議 提言「外国人の子どもの教育を受ける権利と修学の保障——公立高校の『入口』から『出口』まで」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-15.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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