自主性や学習姿勢、多様性を重視し、社会のリーダーを育てる 名門私立進学校の取り組み

  • 中高一貫校

社会で活躍するリーダーとなるために、求められる力とはどのようなものでしょうか。今回は、社会で活きる力の一部をお伝えしながら、実際に私立中高一貫の名門校と言われる学校ではどのような活動をしながらそれらの能力や姿勢を育成しているのかをご紹介します。

この記事のポイント

判断するプロセスを経験させ自主性を育む

多くの名門私立進学校が学習だけでなく、行事などの活動にも重きを置いています。生徒の自主性に任せて、様々な行事を企画運営させることを伝統にしているのです。1つのプロジェクトを遂行するプロセスから、生徒たちは思考、判断することを学びます。さらに、仲間と協働することで、協調性も磨かれていくのです。
プロジェクトを自ら達成していく経験を経て、生徒たちは自立へと向かっていきます。社会でリーダーとして活躍するために、自ら考え、判断し、行動する体験を学校活動の中で学ぶのです。

例えば、東京大学進学者数が39年連続1位の開成中学校・高校は中学校では、学年旅行の行き先に到るまで生徒たちに決定させます。生徒たちは、選挙管理委員を作り、旅行委員会を選挙で選抜します。行き先ごとに分かれたグループが立会演説会をし、最も多く投票された場所がその年の旅行先に選ばれます。生徒たちだけで企画運営することで、合意形成を学び、その中から判断、実行していく力をつけます。

さらに、体育祭も多くの名門私立男子校で力を入れている行事です。鹿児島ラ・サールでは、生徒自身が体育祭を企画運営します。南九州出身者の紅軍とそれ以外の土地の出身者の白軍に分かれて戦い、応援合戦では昨年負けた軍が出身地域の方言で挑戦状を読むことが恒例になっています。伝統を守りながら、自分たちの色を出し、どう盛り上げるかを生徒たちが考え、決定していくプロセスの中で自主性が育まれていくのです。

伝統校の強み、先輩から学ぶ自立的学習者としての姿勢

昨今、自立的学習者へと生徒を成長させることが重視されています。これからの社会で生き抜いていくには、「言われたことをするだけ」では十分ではありません。そのため、学校では、主体的に自ら学んでいく姿勢を育むことが求められます。

多くの名門校の進学実績などを見ると、「勉強ばかりさせている学校」というイメージで捉えられがちですが、教師たちが「勉強をしろ」などということは少ないといいます。むしろ、生徒たちが自ら学びに向かっていくのです。

では、生徒たちは、どのようにして学びに向かう姿勢を身につけていくのでしょうか。
多くの場合、生徒たちは先輩の背中を見て、「自分も頑張ろう」「僕にもできるはずだ」という思いを強めていくのです。

例えば、北嶺中・高等学校では、OBがチューターとなり在校生が暮らす学生寮を一部屋一部屋まわり、勉強を教えたり進路の相談に乗ったりする制度があります。部活動の先輩が訪問することもあり、親元から離れている生徒たちは「お兄さん」に相談するように打ち解けて相談をします。
推薦入試の対策に向けた、集団討論練習もOBが同席して実施しています。実際に、入試を経験したOBの声によりリアルな情報を掴めるとともに、志望校への意欲も高まります。

さらに、鹿児島ラ・サールにも学生寮があります。中学生は、1年生から3年生までが混合の8人部屋で過ごし、自習室も整備されています。高校生には、個室と自習室があります。消灯時間まで多くの生徒たちが自習室で学び、朝も登校前に自習室で学習する生徒たちの姿を見ることができます。こうした共同生活の中で、先輩からよい刺激を受け、自分も目標の達成のために学習を積み重ねようという思いを強めていくのです。

多様性を受容し楽しめる力を育む

これからの社会で生き抜くには、さまざまな人のバックグラウンドを理解して、多様性を楽しむ力が欠かせません。

北嶺中・高等学校では、高校1年生の段階でハーバード大学やマサチューセッツ工科大学を訪問する「グローバルリーダー養成プログラム」を行います。8日間に渡るボストン研修により、生徒たちは「リベラルアーツ教育」の基礎を体感します。さらに、その後4日間はニューヨークで過ごし、ウォール街、国連、グラウンドゼロの見学を通じて、世界の歴史や平和について考える機会を持ちます。
学校に閉じこもって学ぶのではなく、世界に飛び出すことで、多様性を理解し、グルーバルな社会でリーダーシップを発揮するとはどういうことかを知るのです。こうした活動もあり、現在、同校からハーバード大学大学院に3名、マサチューセッツ工科大学大学院に1名進学し、国連で活躍する卒業生も出ています。

開成中学校・高校も多様性を重んじています。具体的には、高校入試を実施して公立中学からや海外から高校入学生を受け入れているのです。生徒の多様性を保持し、その中で起きる相乗効果的な学びを期待しているからです。

まとめ

社会で活躍する人材を育成するために、多くの名門私立校が、学習だけでなく、行事などにも力を入れていることがわかりました。生徒にさまざまな経験をさせ社会で活きる力をつける、それこそが学校の強みとなっているといえるでしょう。

なお、本記事はBSテレビ東京の『THE名門校〜日本全国すごい学校名鑑〜』の取材協力を得て、番組で放送された内容を一部編集の上、ご紹介しています。

参考:

学校名:開成中学校・高校
所在地:東京都
創立:1871年
教育理念:「開物成務」、「ペンは剣よりも強し」、「質実剛健」、「自由」
2020年度大学合格実績:東京大学185名、京都大学9名、海外大学34名、そのほかにも、医学部進学多数

学校名:鹿児島ラ・サール
所在地:鹿児島県
創立:1950年
教育理念:(1)キリスト教の広く豊かな隣人愛の精神を養います。(2)新時代の人間としての世界への広く正しい認識を培います。(3)心と体と頭の調和のとれた、社会に役立つ人間を育てます。(4)ひとりひとりの能力を最大限に伸ばします。
2019年大学合格実績:東京大学34人、九州大学23人、その他医学部志望者が約70%

学校:北嶺中・高等学校
所在地:北海道
創立:1986年
教育目標:「未来を洞察し、開拓しうる高い知性と教養を養う」「誠実で敬虔な心情を培い、真理を求める態度を養う」「豊かな情操を培い、おおらかな人間性を養う」「優れた体力と気力あふれる精神を養う」「己に偏せず、広い視野から社会に貢献できる人間性を育てる」
2020年大学合格実績:東京大学17名、北海道大学31名、医学部医学科60名など

プロフィール

監修:BSテレビ東京「THE名門校 日本全国すごい学校名鑑」

毎週日曜夜9時放送
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/meimonkou/

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