高校生の「考える力」を育む 大学の社会貢献のかたち【変わる大学】

専門的な教育研究を展開する大学の使命は、社会または学問そのものの発展に寄与する研究成果を創出すること、世の中にとって有為な人材を育成することにあります。また近年では地域社会における大学の役割も重視されるようになり、大学と地域が協同するプロジェクトや地域に開かれたイベントなども数多く行われています。特に夏休みは、小学生から高校生までの児童・生徒を対象に、研究のおもしろさや魅力を発見してもらうことを目的とした催しが多く実施される時期です。今回は、そのような取り組みの一例として、2019年8月に実施された明治薬科大学の「高校生のための『夏の学校』」をご紹介します。

考える力を育む、「高校生のための『夏の学校』」

今年で13年目を迎えた「高校生のための『夏の学校』」は高校1年生から高校3年生を対象にしたイベントであり、毎年8月に2日間にわたって行われます。薬学の基盤を支える「化学」と「生物」の講義と実習を通じて、「薬学」に興味を持ってもらうことがこのイベントの目的です。この取り組みでは社会活動の一環として、単に化学や生物の知識を教えるのではなく、「考える力」の育成に主眼を置いています。
今年は8月21日と22日に実施され、1日目に化学、2日目に生物学のプログラムを開講。それぞれ大学での授業と同じように、午前に講義、午後に実習という構成で実施されました。また、大学院生や学部学生が学生スタッフとして実験などを手伝い、参加者の補助をしました。
高校生の参加者は、47名(1年生15名/2年生22名/3年生10名)。化学の講義では分子模型を自らの手で組み立ててみることで薬の形と効き目の関係を学び、実習では現在使用されている医薬品の一つであるアセトアミノフェンを実際に合成しました。生物学の講義では「生き物がつくる薬の世界」をテーマに学び、実習では「カイコの行動や組織を観察する」「光るタンパク質GFPを大腸菌から精製する」といった体験をしました。いずれも専門的なテーマで高校ではまだ学習していない範囲の知識が必要な箇所もありましたが、教授や学生スタッフが高校生の視点に合わせて丁寧に支援しました。参加者からは「興味のあった学問が薬学の研究と関係していることに驚いた」「高校で習った反応が実際に目の前で起こる様子を見て、化学の楽しさをあらためて実感した」といった声が上がっており、彼らは自分たちが持つ既存の知識を応用させながら、新たな気づきを得ていたといえます。
また、普段はなかなか体験できない授業ということもあり、「化学や生物のおもしろさを味わえた」「薬への関心が高まった」といった声も多数ありました。中には、2年連続で参加するリピーターやこのイベントをきっかけに薬学を志す高校生も見受けられました。このことから、彼らが学問を専門的に学ぶ楽しさに触れられた様子がわかります。

このように、大学だからこそ実現できる専門的な学びの場は、高校生に新たな気づきを与え、学問の世界への好奇心を駆り立てます。明治薬科大学の「高校生のための『夏の学校』」では、身近なところにある薬学の世界を高校生の視点に合わせて体験させることによって、彼らに生きた学びの機会を与えました。
普段の学校では得られない学びの場をつくり、「考える力」を育む高校生のための取り組みは、高等教育機関である大学が実践できる、一つの社会貢献の姿といえます。

明治薬科大学
https://www.my-pharm.ac.jp/

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