中学受験、学校選びによる異なる勉強法とは?

2019年5月26日、東京国際フォーラムで「ベネッセ進学フェア2019」が開催されました。私立中高一貫校約180校が一堂に集まり、各学校の先生方に直接質問できるほか、学校選びについて専門家に相談できるコーナーもあり、中学受験を考えている保護者のかたや子どもたちでにぎわいました。
今回は、同フェアで開催された森上教育研究所の森上展安所長の講演から、「学校選びによる異なる勉強法」について紹介します。

偏差値だけでなく、学校によって変わる勉強法を吟味して

中学入試で受験する学校を決める際、重要になるのは6年生の2月の時点での偏差値で、いわばそれまで偏差値がいくつであってもあまり関係がないといえますが、いざ受験する学校を決めるときに、偏差値によって残念ながら制約が出てくることになります。もちろん、皆さんそうならないために、準備を急がれているということだと思います。

この準備というのは、偏差値を上げるということももちろん大切ですが、行きたい学校に合った勉強法をするというのも大切にしてほしいのです。たとえば、東京では算数で高度な図形の問題を出題する学校は少ないですが、駒場東邦に関してはその限りではありません。これを6年生になってからあわてて始めても難しいというのが実情です。図形というのは学習の積み重ねというよりは、小さいころからの素養が大きなウェートを占めます。図形が入試で出る学校の受験を考えているのであれば、できれば、小学校の低学年あるいは中学年ではグラフや円は描けるように、図形のだいたいの様子がわかっているというところまでもっていきたいものです。
このように、偏差値の壁に加えて、どういう学校を受けるかによって勉強しなければいけないことは変わってくるというわけです。

もう一つ大きな違いというのは国語です。国語は、難関校では、7,000字前後の長文が出ます。長文は、5年生の段階で手をつけているのといないのとでは大きな差が出てきます。
小学生の発達段階では、女子のほうが読書が好きで国語がよくできる傾向にあるお子さまが多く、国語の同じテストをした場合は圧倒的に女子のほうがよくできます。
この考え方を前提として、男女が同じ問題で競うのだとしたら、共学で勝負しようとするのか、男子校・女子校で勝負することにするのかを決めるのも入試における一つの戦略となります。これは、おのおのの能力というよりは一種の「判断」という意味です。実際、中学受験では共学校の場合も男女の比率が完全に同じになることは少なく、幸か不幸か男子と女子とで違う学校を受験する傾向にあります。

また、理科に関しても苦手なお子さまが多い分野です。このように、科目の得意・不得意を含めて4教科で受験するのか、国語と算数の2教科で受験するのか、算数や国語の1科入試で受験するのか、判断することになります。見極めでいいますと、5年生の2学期に偏差値50以上を安定して保っているお子さまは、理社もいけるし国語もいける。それが少し難しそうという場合は、算数なのか国語なのか、得意な科目で受験するという決断を早めに考えたほうがよいですね。

付属校は問題をたくさん処理、進学校は長文問題重視の傾向

行きたい学校が付属校か進学校かによっても出題の傾向は異なります。
たとえば、付属校の場合は短い問題をたくさん処理することを求められる一方、進学校では長文問題を大量にこなすことを求められます。限られた時間の中で、難しい問題をぱっと見て回答しなければいけないため、問題を見たとたんに回答が思いつき、それに対して適切な手順を重ねられるような高い習熟度が必要になります。

行きたい学校の入試科目とお子さまの得意教科の見極めが大事

くれぐれも申し上げたいのは、中学受験における学力は、精神的な成長の差こそあれ、お子さまの能力の差はほとんどないということです。
そんななかで合格を勝ち取るためには、個別にやること、そして時間をかけることが大切になります。目指す学校がどんな受験をするのか? 首都圏には、約300もの学校があり、これに公立一貫校を加えたらもっと多くの学校から進学先を決めることになります。それぞれの学校がどんな入試をやるかはまったく自由で、学校の裁量に任されています。塾の延長に中学校があるわけではありません。そこで入試問題のプロの手を借りてかまいませんので、どういう水準のどんな問題が出るかということを保護者のかたが早めに検討し、お子さまに合った学校選びができるとよいですね。

プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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